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書くの辞めたい 第二夜 (三年間だけ)タフであれ

   

誰だって悩み苦しみはあるものの、突破できない悩みや苦しみはどうしたらいい?
そのままとどまるも選択肢の一つ。時間の解決が問題の解決につながるパターン。逃げるのもまた手。でも、どうやら理桜さんは先に進みたいのに方法が分からないようで……
何度も言いますが、1割本当、9割フィクションです。

 

書くの辞めたい 第二夜 (三年間だけ)タフであれ

「正しいっていうのは、正解ってことじゃないわよ。十全なって意味よ」
『にゃんと素敵な東雲市役所猫支店』より

 二万文字を全面改稿三回のち提出。今回の結果、発熱。咳が出て妙にだるいんで、まずいなと思ってたら案の定、熱が出た。ついでに別件で進めていた仕事も終わり、三週間で計十万文字程度を書いて軽いスランプに陥る。おまけに高熱が出始めた頃から背中の両脇が痛い。
 マスクと冷えてぴたっとするあれを額に貼って寝ていると、芳美から電話があった。
『出稼ぎ終わったから帰るんだけど会える?』
「風邪引いた……」
 マスクの向こうから返事をすると、あーそっかあと返事。
 ごめん、芳美。いつものことだけど。つか、出稼ぎご苦労様。
 芳美は博士課程までいって卒業後、なにやら日本各地を回りながら仕事をしている。フリーランスなのかどうかもよく分からない。それがどういう仕事なのかも私には分からないけど、人の役に立つ仕事らしい。なんたって、芳美はタフだ。徹夜明けでも全然平気で出勤できるし、風邪なんかひかない。本好きで学術書から小説まで年間六百冊読む。(だから私は芳美に読んで欲しいとお願いしてるのだ)異常にバイタリティがある。羨ましい。 
『じゃあ、あんたの家行っていい? どうせ一人なんだろうから見てやるよ』「……あざまーす」
 電話切って寝て起きると、合鍵を持っている芳美がスーパーの袋を抱えて玄関で靴を脱いでいるところだった。遮光カーテンで分からなかったけれど、どうやら夕方らしい。
「起きた?」
 頷いて身を起こそうとすると、「いいよ、寝てなよ」と言われた。
 普段着のパジャマが汗だくだ。着替えたい。
「おかゆ作るけど食べられそう?」
 うーっと手をあげて返事をすると、私の不快感を目敏く見抜いた芳美が「着替える?」と訊いてきたので、敷きっぱなしの布団から這い出た。
 九畳ロフト付きワンルームの汚部屋は資料と印刷した原稿とカップ麺とペットボトルのゴミが転がっていて、それを踏み分け、クローゼットに向かった。
 もそもそ着替えてると、芳美がキッチンでおかゆを煮てくれている。レトルトでいいのに、なぜか芳美は絶対に米から煮る。
 清潔なパジャマに着替えると(私は普段着よりパジャマの方が数が多い)布団に戻って大人しく目を閉じる。背中の痛みが激しくなってる気がする。

 

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書くの辞めたい 第1話第2話

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