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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

44口径より、愛を込めて episode8

   

 突然襲われた、魔夜と大雅。幸い命に別状は無かったが、魔夜の不安がおさまらないうちに玲奈が現れ!?

 本格ミステリー!!
 44口径より、愛を込めて

 

 瞬間、助手席の窓である私の正面のガラスがパン! と弾けるように割れ、私の腕や頬、首筋にガラスの破片が降り注いだ。
 夥しい程の細かな鋭い痛みと、ガラスの砕けた勢いでバランスを崩し、私の身体が左肩から地面に落下する。
 防護機能として、いつの間にか強く閉じられていた瞼をゆっくり開けると、暗闇に黒く重たい水滴が幾つも落ちているのが見えた。
 黒のハイブリットカーは、私を通り越した辺りで突然ホイールスピンをさせながら、勢いよく走り去って行った。

 ――あの車は、明らかに大雅を狙っていた。

 でも、何故?
 須臾の判断で防御になればと扉を閉めたのだけれど、あの割れたガラスはちゃんと防壁の役目を果たせたのか。
 身体が空へ放り出されている間、地面へ落下した直後、写真の様な無数の映像が連写よろしく私の目の前を過ぎっていったのだけれど一体何だったのか。
 身体を動かそうとすると、激しい痛みに襲われた。その為、身体をどう起こそうか悩む方が忙しくなり、フラッシュ映像について考える余裕なんて無くなっていた。けれど、大雅の声が聞こえたので、彼は無事だったのだと安心した。
 大雅は薬でふらふらであるにも関わらず、私を背負ってベッドまで運び、傷の手当をしてくれた。幸いなことに、軽い切り傷だけで済んだようだ。
「傷、残らなきゃいいな」
 私の頬傷のガーゼを撫でながら、彼がそう呟いた。
「……ぅん……」
 私は小さく頷いてから、頬に置かれた彼の手に自分の手を重ねて、言葉を続けた。
「……あれは、サイレンサーの取り付けられた……Glog26……」
「意図的過ぎて、状況が把握できない」
 同じ意見だと答える代わりに、私は首肯した。
 警察に通報しようとしてやめた。状況が掴めない以上、立場的にも混乱を招きたくなかったからだ。先に、ケンさんに相談することにした。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド


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