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不思議なオカルト研究部 第ニ話 腕が揺り起こす 後編

   

「彼女がね、揺れ始めたのよ。最初は自分で体を揺すっているのかな? とも思ったけれど、徐々に揺れが大きくなってくると、明らかにそんな雰囲気じゃなかったわ。確かに、何かに揺すられていなければあんな揺れ方はしない――ベッドまで揺れていたくらいだもの。彼女以外に異変は無かったけれど、まるでポルターガイストの映像を見ているような感覚だった。少なくとも私はね」

始めたばかりの一人暮らし――女子大生の部屋に出没する幽霊の正体とは!?

第ニ話の外伝(掌編)をブログにて掲載しています。よかったら遊びに来てください☆→http://mugetutei.blog.fc2.com/

 

「ど、どういうことですか…?」
 直也のオウム返しに、緑ヶ丘は呆れたように言った。
「だから、それをクイズ形式にしてあなたに聞いているんじゃない。どういうことだと思うか言ってごらんなさいよ」
「え、えっと……」
 そんなの解るわけが無い、と直也は内心諦めながら、先輩の手前どうにか答えを捻り出した――が、苦笑いの表情でだ。言っている本人が陳腐な答えだと思っていることがありありと見て取れる。
「その、休日だからでしょうか? 起こす必要が無い、とか……はは…」
「正解」
「………へ?」
「なに呆けた面してるのよ。正解、大当たり。なによ……つまんないなぁ…」
 いきなり正解を言い当てられ、いかにも興が削がれたと言わんばかりの緑ヶ丘の表情だった。しかし直也の方は『正解』したことに実感が無い。喜ぶでもなく、その顔は彼女の言う『呆けた』それ。同じテーブルに座る二人だが、テンションがまったく噛み合っていなかった。
「ほ、本当ですか?」
「本当よ、本当。なんだかなぁ……続きを話すの面倒になっちゃった……」
「ちょ、ちょっと! そりゃないですよ! ここまで話しておいて!」
 最早椅子の背凭れに全てを預け、いかにも脱力しているのが見て取れる『だる~ん』とした態勢の緑ヶ丘に、直也は椅子を揺らして詰め寄った。だるヶ丘翠だった。
「ここで話を止められたら、俺今日も眠れないじゃないですか! お願いしますよ、だるヶ丘さん!」
「誰よ『だるヶ丘さん』って」
「あっ、いえ、お願いします、緑ヶ丘さん」
 言い直す直也に向けて溜息を零しながら、緑ヶ丘は「仕方ないなぁ」と呟いた。そして、ちょいちょい、と指差したのがテーブルに置かれた二杯分の伝票である。
 チッ――と、今度は舌打ちを隠さずに出した直也であった。
「ここ、奢らせてもらいます」
 緑ヶ丘はにんまり笑って態度を改めた。なんとまぁ、我儘な姉気取りもあったものである。

 

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