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SF・ファンタジー・ホラー

RAT <十二>

   

タイトル RAT <十二>
シリーズ RAT < 全47話>
カテゴリ 一般文芸
ジャンル SF・ファンタジー・ホラー
あらすじ
 遂に服部の猟奇殺人の対策本部ができた。護衛対象の俺たちを守る為、服部を炙り出す為、うちの真下の部屋に刑事たちが詰め込んでいる。憶測から明らかになる服部の目論見。それは一体?

 

 
 俺たちは悶々とした気分で帰路に着いた。ほろ酔い気分の運転は「良く無い」と分かっていながらも「運転せざるを得無い」っという理由でハンドルを持ち、さっきまで瞬いてた夜景に俺たちは飲み込まれてゆき、その光の一部になったのだ。
 マンションの駐車場まで無事辿り着くと、明らかに斜に駐車しているにもかかわらず、それが真っ直ぐに駐めていると錯覚していた。
 車を降り、力加減の分から無い京子がおもいっきりドアを閉めたので車が波に揺られるかのようの左右に振れている。
 そこに聞きなれ無い足音がコツコツと近づいて来るではないか。酔った脳みそをフル回転させ何が起こっているのかを考えた。まさか、あの巨大ネズミが狙っているのか? それとも例の服部という男が現れたのか? 

「感心しませんなぁ。飲酒運転とは」
 駐車場に流れる湿った空気は、その声を俺達の耳に届けるのに少し時間をかけた。
「あまりちょこまかと動きまわら無いで貰いたい。捜すのに苦労しましたよ」
 声の主は山根警部だった。ボリボリと背中を掻きながら半笑いで近付いて来た。
「いやぁぁ、すみません……見なかった事にしてください」
 俺は引きつった笑いで誤魔化した。罰金は御免だ。そうでなくてもこれからは節約しなくてはならない。無駄な出費は出来るだけ避けたい。
「まぁ、あいにく今アルコールチェッカーを持っていないので、斎賀さんがどれだけ飲んだかは判断できない……一応見逃しましょう。でも次は無いですよ」
 山根は俺の顔に自分の顔を異様に近づけ、どれだけアルコールの匂いがするか確かめようとしている様だった。俺は顔を背け、話題を変えようと脳の優位半球を働かせた。
「山根さんがここに私服で居るって事は、無事捜索本部ができたんですね。ありがとうございます」
「ええ、なんとかね。今このマンションを囲む様に六人の職員が警備しています。あなたの部屋の丁度下の部屋が空いていたので、そこを一応本部として職員が待機しています。何かあれば直ぐに知らせて下さい。そちらの方は?」
 山根は京子の顔をじっと覗き込んだ。俺は酔っているせいもあり、大口をたたいてしまった。
「俺の彼女の京子です。俺と同じく守って貰えるとありがたいです」
 京子は俺の虚言に対して別段驚く事もなく、首をたてに振った。
「初めまして、京子と申します。この度はご迷惑をお掛けしますが、どうかよろしくお願いします」
 いいのか? 京子。俺の彼女で……俺は顔が真っ赤になっていくのを自分で実感した。ほろ酔いが泥酔になろうとしている。そんな俺を呆れた目で睨み、山根が言った。

 

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