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ショート・ショート

好都合な社員派遣

   

「またご利用されるとは、珍しいですな」
 木内は、「好都合社員」派遣担当者と、再びカラオケボックスの中で向き合っていた。
 簡単手頃に防音室が使える関係上、喫茶店よりもずっと密談に適している。
 さらに言えばこの店は、木内の旧友がオーナーであるため、部屋の監視カメラを切る、両隣の部屋を締め切る等々の秘匿策も取れる。
 まず秘密が漏れる心配はないだろう。
「状況が変わったんだ。貯金を全部はたいても雇い直したい」
 木内の切羽詰まった声に、担当者は一瞬驚いたように目を丸くした。
「ほう、『彼』の働きではまだ不足ですか? 向こうからも大変充実していると報告が入っているのですが」
「いや、逆なんだ」
「逆?」
「そう。できるだけ仕事ができない、かつ悪目立ちする人材を派遣して欲しい。能力がないだけじゃなく、組織にマイナスになるような。それでいてすぐにはクビを切れないような要素がある人間が欲しいんだ。会社じゃなく、俺個人の方が」
 そこまで木内が説明すると、担当者は合点がいったようにフッと笑った。
「なるほど。優秀過ぎるのも時に厄介というわけですね。よろしいでしょう。いかなる人材でも派遣するのが我々の役目です。飛び切りの連中を揃えときましょう……」
「商談」はこうしてまとまった。木内は、「これで何とかなるだろう」と安堵のため息をついた。

 

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