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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season3-3

   

 身代金受け渡しの瞬間、迫る。渋谷駅スクランブル交差点を指定した犯人の思惑がかならずある、とよんでいた。

 たとえどんな手でこようと、それを上回るほどの包囲網と逃走ルート、監視カメラで状況把握している警察側。

 しかし、犯人は上手だった。隠し玉、奥の手を披露して逃げとおした。
 だが、犯人が逃走するのと同時に、スクランブル交差点は大パニックとなり一時騒然となった。

 警察は呆然となり、悔しがる。
「敗北」の二文字をくちにするのだ。

 御影は渋谷事件を把握する。
 雲田と現場を調査するも、雲田はどこかへと一人で行動した。

 そのあいだ、御影はハチ公の銅像の下で、身代金が置かれた場所から、スクランブル交差点の景色をその目でみる。
 すると、着眼点と発想力で見通していく。ひとつの推理に筋道を御影のその目は見た。

 

 日曜の15時。すでに警察は渋谷駅付近を包囲し、逃走ルート、逃げ込みそうな建物内に私服警官を配備されていた。
 優に200名の動員だった。

「これで逃したら警察は笑いものだな」三舟警部補が冷やかした。

「こら、渋谷警察署さん、失言だぞ」加賀谷警部補がたしなめる。
 個人個人、イヤホンと袖口にマイクを入れている。おもわず頬杖をついていた三舟の声をひろっていた。

「おやおや、すいません。つい本音が…」三舟。

「やめろ、もうそういうのは」古来警部がいった。「すみません。あとでいっておきます」

「あと一時間です」巽警部は作戦を再度告げる。「古来警部、三舟警部補は最前線で身代金のバッグを監視し、近づくものがいたら近くにいる私服警官に命じて排除、職質をかける。もし、犯人であればそれらしいシグナルを出しているかもしれない。見極めください。渋谷に馴染んでいるあなたたちの目が頼りなのです」

「ファッションに疎い神奈川さんでは無理だといっているようなものだ」三舟が懲りずに揶揄している。

「おまえ!」加賀谷が自分が最前線に立ちたい衝動を抑えていた。渋谷駅付近の地理に疎いため、後方でワゴン車で待機していた。渋谷付近の監視カメラをモニターしていた。

「しっかりと監視カメラでわれわれの活躍を覗き見しててくださいよ。それと渋谷の光景を眺めていていいですよ。109って知ってますか?」三舟警部補が対抗した。

「たく、あんな不良刑事で渋谷の治安が改善されるのですか?」加賀谷はマイクに入らないように巽に苦言を放つ。

「さあな。ファッションのことはわからん」巽はボケをいっているのか、真剣にこたえたのか、加賀谷は一刑事の在り方について解いたのだ。

 渋谷の駅前は若者が多くいる。恋人や数人の男女のグループ。巨大なテレビモニター画面からは大音量で音楽が流れている。
 スクランブル交差点は行き交う人々で一瞬も休む間もなく人々のラインで交差している。小走りなんかしたらすぐに他人にぶつかってしまいそうだ。
 歩行用の信号が青から赤に変わると人の足は止まり、今度は自動車が行き交う。車のエンジン音やクラクションも混ざり、スクランブル交差点の中心から半径100メートルはその騒音で頭痛でも引き起こしそうな光景だ。

 この場所を、身代金の受け渡しに指定した誘拐事件の犯人。

 巽警部は、いまだにその意味を考えていた。
 横浜に住む国寺氏。息子は三軒茶屋で一人暮らしをしている。わざわざ渋谷を指定した意味、それが犯人像の糸口になりそうな気がしてならない。

「バレているんですかね?」加賀谷警部補がいった。

「それでもやつはくるだろう。国寺家にわれわれ刑事が入っていることを察していた。逆探知も警戒して携帯電話を盗難したくらいだからな。最終的にこの場所に身代金を取りにこないというのは合点がいかない。かならずくる」巽警部はいった。

 加賀谷は巽の経験に物を言う、とばかりな目つきだったために、それいじょうなにも意見しなかった。

「時間になります」加賀谷がいった。

 巽も時計をみた。16時まであと一分。

「気を引き締めろ」

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

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