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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season3-4

   

 御影たちの前に大地が現れた。

 雲田は自身にGPS装置を常にONにし、探偵事務所との居場所の連携を取っていた。
 大地はそれをたどって、雲田の忘れ物を届ける。

 予測できない犯人像。そのために危機回避能力を持つ大地を雲田はチームに加えた。

 大地の天敵が御影たちの前に立ちはだかる。柄のわるい渋谷県警の刑事が聴取する。だが、雲田と面識があるようだった。

 警察と探偵という立場がちがえども、目的はおなじだったため、情報の共有をし、捜査を進める。

 神奈川県警の巽警部を含め、刑事たちは探偵としての着眼点を目の当たりにし、驚かされていた。

 まさか御影の発想からくる眼力に、押し負けるとは思ってもいなかった。

 

「大地さん?」御影は驚いた。まさか唐突に現れるとは思ってもみなかった。「どうしたの?」

「雲田さんに用があります。事務所に忘れているものがありました」

「なにを?」御影は雲田をみた。

 雲田が事務所に忘れ物をするとは、思えなかった。普段なら忘れることはない。
 御影を連れて、事務所を出るとき、かっこつけて荷物の中身の確認をせずに、リュックサックを背負っていたのを御影は覚えている。

 それで忘れたことに気づいていなかったのか。

「スマートフォン?」御影はいった。

「すまない。助かった。充電していたのを忘れていた」雲田は大地に礼をいう。

 いつも単独行動の雲田。パートナーを連れて調査することはない。クールな態度と顔つきとは真逆に内心テンションがあがっていたのだろう。

「まぁ、だいじだよな。連絡手段としていちばんのモノだし」御影は納得していた。

「ええそうですね」大地はこたえた。

「でもどうしてここだと?」御影は大地が迷うことなく、いかように推理して自分たちの足取りをとらえたのか。これが探偵の力。大地探偵の力なのか。

「いつも雲田さんは、ご自分に発信器をつけてるから。GPS機能付きのね。探偵社のパソコンに追跡調査用として閲覧できるの。閲覧には小柴しか権限ないから、雲田さんの忘れ物は佐伯さんが気づいてね。小柴さんに依頼して私が届けるように言われたの。居場所は、都度、電話で聞きながら五分前に御影くんを見つけた。おそらく近くにいるだろうと雲田さんが現れるまで隠れてたわ」

「いや、隠れることないでしょ。仲間なんだし、おれに話しかけてくれれば、五分間無駄にしなくてすむのに」

「それはそうだけど」大地もまたむやみに仲良しにみられるのを避けるタイプであった。

「なんだかなー、もう」御影は憤慨していた。だが、御影は鼻で笑っていた。自力の推理じゃなかったか。と勝ち誇る。

 それと気になるのは、雲田はどういう性格してんだ、プライバシーもあったものではない。いくら小柴だけに権限があるにせよ、日ごろから発信器を装着している生活。それは赤裸々に休日をみられることへの抵抗ないのか。
 そもそも携帯電話の位置情報をONにするだけでじゅうぶんじゃないかと思ったが、そういえば森谷が座学でいっていた。
”もし携帯電話を落としてそれを拾われたとする。こちらの内部情報が漏洩する可能性がある。だからプライベート用携帯電話とは別に、業務用携帯電話を配布している”。
 いろいろめんどくさいルールがある。

「ほかの探偵も発信器つけてるの?」御影はきいた。

「私はつけてない。調査するときは、そこまて危険な依頼はまだだし、ほかの方はつけてるかも」大地はいった。

「そうか。新米は、まだってわけね」御影は安堵した。

「そうでもない。指示があればペット捜しでもつけさせることもある。山奥に逃げ込んだとかでな」雲田はいやらしく笑みを浮かべた。

 気色悪。御影は危うく声にするところだった。

 雲田はいった。「大地さんは、予定ないならちょっと同行してくれないか。思ったよりこの任務、危うい。きみの危機回避能力がいる」

 御影はさっきいっていたな、と思いだした。もしかしてこの大地登場を狙って、意図してスマートフォンを忘れたのか。
 大地は昨日ペット捜しの依頼を終了していた。次の依頼は振り分けられておらず、依頼数もなく、本日午前中は非番だった。

「はい、わかりま──」大地はそこで見たこともないほどにうろたえはじめた。「なんか、嫌な感じがする。いま視界にとんでもないものが入り込んだような気がする」

 さっそく危機回避能力発動か、御影はあたりを見渡す。
 ハチ公銅像前でいったいなにが起きるというのか。

「おと五秒くらいで起きる」大地はそういうと御影の背後に隠れ盾にした。

「冗談でしょ、森谷さんなら刺されてもいいけど、おれはまだそんな装備してないのに…」
 御影は盾にされながらあがくも、小判鮫のように背中に張りつく大地だ。

「おい、おまえら」そこに現れたのは、いかにもその筋のように見える男だった。
 金髪リーゼント。花柄のシャツにブルゾンに小汚いブルージーンズ。エナメルの蛇皮の先が尖ったブーツ。
 人相も悪ければ態度も目にあまるほど。言葉も暴力的で、威嚇してくる存在。
 大地にとっては嫌悪しかない。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

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