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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

プラチナ・フィンガー〜女王陛下のダイヤモンド〜<2>

   

 本文よりの抜粋:
 カタログには、ダイヤモンドがビクトリア女王の手に渡るまでの数奇な運命が記されている。
 ドアが閉まろうとしたとき、男が駆け寄ってきた。

 

 駆けつけた警察官に痴漢男をまかせると、高橋美由紀は、電車に戻った。
 浜松町へ行き、モノレールに乗り換える。
 羽田空港へ着くと、シャトルバスに乗って、国際線ターミナルへ向かう。
「1時間も遅刻してしまった。あの痴漢男め」
 ちょうど1時間前、金浦空港から到着する捜査官と、ロビーで待ち合わせる約束になっていたのだ。

 そもそもの始まりは、ホテル・クイーンに展示されているダイヤモンドであった。
 ホテル・クイーンでは、『パターソン回顧展』という名前の展覧会が開かれている。
 このウイリアム・パターソンとは、イギリスの探検家である。
 大英帝国華やかなりしビクトリア時代に、インド奥地を探検したのだ。
 これまでは、あまり知られていなかったが、 あるハリウッド映画がきっかけとなって、名前が知られるようになった。
 軽薄な冒険家がインドの奥地で怪奇な魔道師と戦う、という、内容のない低予算映画が作られたのだが、なぜか、これが世界的にヒットしてしまった。
 そして、冒険家のモデルがウイリアム・パターソンである、ということになってしまったのである。
 旧植民地の芸能人にだけ儲けさせることはあるまい、と日が没することのなかった国の商売人は考えた。
 ウイリアム・パターソンを核として、ビクトリア時代を、大々的に宣伝し始めたのであった。
 これに迎合したのが、日出づる国の政治家であった。
「これは使えるぞ」と考えたのである。
 こうして、様々な人々の、色々な思惑と、種々の利害が組み合わされ、『パターソン回顧展』が開催されることとなったのである。
 ホテル・クイーンで、女王陛下の国の展覧会を行う、語呂も合っているではないか。
 展覧会の目玉となるのは、巨大なダイヤモンド。
 玉子ほどもある、大きなダイヤモンドなのだ。
 ヒマラヤの山岳地帯にある寺院からパターソンが強奪し、ビクトリア女王に献上したという因縁を持つ宝石であった。
 もちろん、展覧会での警備は厳重を極めていた。
 それでも、ダイヤモンドという蜜に群がる害虫は多いであろう。
 世界中の害虫が群がってくる――。
 下手をすれば、国際的な犯罪が行われてしまう――。
 ということで、警視庁の特殊捜査部門が担当することとなった。
 そして、高橋美由紀が警備の責任者になったのである。

 

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