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SF・ファンタジー・ホラー

RAT <二十>

   

遂に作戦が明日決行される。俺は名取の所で麻酔銃の容量についての助言を受けた。これで準備は万全だ!

 

 
 おい! 待ってくれよ。どこへ行くんだよ

「君が知っている国、そして知ら無い国。これから、僕らの試練が始まるのさ」

 そんなに急いで行くこと無いだろ。俺たち、家族だろ?

「君に借りた恩は必ず返すよ。でもその前にしなきゃなら無い事がある。それは今に始まった事じゃ無い。人類が生まれてから何年経った? 人はもう分からなくてはいけない。シラを切るには遅すぎるんだ。略奪、殺戮、何をしても楽しそうだ。君達に掛ける言葉は無いよ。なにが欲しいんだ? 何が楽しいんだ? 僕にはさっぱりだよ」

 なんでそんな事言うんだよ……俺たちは……

「俺達?」

 京子が居て、飯を作ってくれて。そこに居る景色を作ってくれて。何よりも俺の生きがいがそこに居る。お前だってそうだ。俺のかけがえの無い存在なんだ。だから、だからそんな事言わ無いでくれ。お前は俺達の支えなんだ

「僕はいろんな経験をしているらしいな。でもそれが何の役に立つんだろう。結局寝て、起きてみればそれは只の夜の夢、迎えなきゃいけない今を忘れる為にある様なもんなんだ。君がやっているドラッグだってそうだ。苦しい現実から逃げ出せる一番優しい方法だろ。それは一流大学卒だって、乞食だって出来る一番安易なやり方だ。それを良い様に捉えてるのは君のエゴだ。それを馬鹿みたいに職業だと思って。自分にしかでき無い事だって捉えて。そんな事君じゃなくても誰だってリスクを負えば出来る事なんだ。何が大切か、何が必要か。今この時間がそれを一番感じなきゃいけない時なんじゃぁないかな。分かるだろう?」

 そんな事、言われなくたって分かっているさ。俺は人生から、俺自身から逃げてきた存在なんだって。今でもため息を吐きたくなるさ。でも出来ないんだよ。どうやったってアイツみたいに人生を謳歌する事なんて出来ないんだ。アイツには叶わない。
 そんな奴が俺より先に黄泉の国への招待状を受け取るもんか? 社会に必要のない俺に来るべきだろう。なんでアイツの所にばっかり良い話が行くんだ。俺だって、俺だって、一所懸命にやってきたつもりなんだ。何がいけないんだ。何が違うんだ、俺とアイツに違いなんてなかった。なのに……なのに

「分かったよ。そろそろ博士が呼んでいるよ。目を覚まさないと。新しい一ページが始まるんだよ。それをお互い大切にしようよ。これからも宜しくね」

 

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