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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

プラチナ・フィンガー〜女王陛下のダイヤモンド〜<4>

   

 本文よりの抜粋:
 レーザー光線による警備システムなのであった。
「結婚式は、どうぞ手前どものホテルで」

 

 警備部長の有馬剛史は、ダイヤモンド以外の展示品を納めるガラスケースについて説明した。
 ケースは、三センチ厚の防弾ガラス。
 それぞれのケースを開く鍵は、中央警備室の金庫に入っている。
 スペアは社長室の金庫。
 もちろん、ケースにはセンサーが取り付けられてある。
 有馬剛史は、ケースの中の、古ぼけた測量機器を指さした。
「あのコンパスを盗むことすら、先ず、不可能です。ましてや、ダイヤモンドは……」
「そのようですな」
 ダニエル・ライアンは、部屋の天井を見上げている。
 その意味が分かって、有馬剛史は説明を続けた。
「空調のパイプの太さは、直径五十センチ。それに、部屋へ空気を送る出口には格子があり、フィルターが着いています。パイプを通って部屋へ来ることは、無理ですね」
「なるほど」
「それに、万に一つでも部屋に入れたとして、壁をご覧なさい」
 四方の壁には、目立たないような配置で、チューブが張り巡らされていた。
 これは、レーザー光線による警備システムなのであった。
 チューブには、二メートル間隔で、レーザー照射口がある。
 レーザーは、五秒から十秒までの間のランダムな時間間隔で照射される。
 角度も、毎回ランダムである。
 そして、それぞれのレーザー光線の間の間隔が五十センチ以上になることはない。
 夜、無人になると、このレーザー光線が部屋に充満するのである。
 レーザー光線の隙間を縫うことは、人間技では無理なのであった。
「昼間は、これだけの人の目があります。夜になれば、最新鋭の器機の目がダイヤモンドを守ります。盗むのは不可能ですよ」
 ダニエル・ライアンは、感心したように頷いたが、顔は笑わない。
「だが……、盗む方も、最新鋭のエレクトロニクスを使うでしょうからね……」
 これは、高橋美由紀も賛成であった。
 決して油断してはならないのである。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

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