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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season4-3

   

 探偵として尾行されていたとは気づかなかった御影。

 相手は栗原だった。

 一度目の本試験で、試験の合否が危うくなっていたせいで、精神的に追い込まれていたこともあり、うっかり自分が探偵であることを栗原に漏らしてしまった。

 どうやら、探偵に依頼したいことがあり再試験の日、御影を尾行してきたと告白した。

 御影は愛の告白かと思ったが、周囲もそう期待していた。だが栗原には恋人がおり浮気調査を依頼したいというのだ。

 エリート商社マンの福留 克喜(ふくとめ かつき 24歳)、栗原の彼氏だという。

 理由をたずねると、“女の勘”というのだ。

 御影も頭を悩ますが、はじめての対面依頼。顔見知りだけに、調査を引き受ける。

 依頼内容は彼の出張先での行動を逐一報告してもらいたい。それで疑念は晴れる。

 愛があるなら、そんなことを影でやらなくていいものだ。と、御影は川上に教えられていたことを栗原にいうが、それでも自分でどうにかしようと考えていた。

 そのための免許取得だった。

 

 ほんらいは個室の対面依頼室で内容を聴取するのだが、ミーティングルームに通して話をきくこになった。

 テーブルに対面するように御影と栗原はすわる。

「ねえ、ちょっとふたりっきりにしていいの?」水桐がいった。

「どうしてさ」川上がいった。

「だって、若い男女、個室にふたりっきりのシチュエーション、燃えるじゃない。恋のはじまりはいつだって激情よ!」水桐はくるくる回りはじめた。

「どういう性格してるんだよ、あのひとは」川上は水桐のテンションについていけなかった。

「わたし、どうでもいいと思いますよ。恋愛はどんなふうにはじまるかは問題ではないと思いますし」大地らしからぬ発言をして周囲を驚かせた。

「ほっほっほっほ、大地さんは落ち着いた大人な恋愛をしっておるのかな。それとも映画やドラマの影響か」森谷が笑いながらいった。

「みなさん」雲田が静かにすわりながらいった。「静かにしてもらえますか」

 場の空気に馴染まない男に、周囲は肩をすくめていた。

「静かに、わりとまじめな話をしている」雲田がいった。

「どういう意味だ?」川上が首をかしげた。

「わたしの特技をお忘れか?」雲田がニヤリとした。すると耳に指をむけた。イヤホンが入っていた。

「そうか、盗聴か。ふたりっきりにしても、関係はないよな」川上が納得した。

「それで、どんな話してんの? 告白はやっぱりないわけ?」水桐がいった。

 雲田は残念そうに水桐の問いに答える。「女性に彼氏がいるようだ。その彼氏の浮気調査の依頼です」

「はぁー」ため息を全員がした。

「けっきょくそういうことになっちゃうわけね」水桐はほんとうに残念そうにうなだれていた。

「ほかにはなんて?」森谷が案じるようにいった。

 雲田はふたりの会話というより、栗原が御影に一方的に依頼内容をこと細かく話し聞かせている。

 福留 克喜(ふくとめ かつき 24歳)。栗原 毬の彼氏。交際は一年ほどだという。エリート商社マンで二年目のまだ新米。営業職だが将来は社長候補者でもあるという。
 出張が多い。勤怠はまじめにしている。が、どうも女の影があるというのだ。証拠はない。

“女の勘”だという。

 出張先が気になってしかたがないのだ。なにをしているかわからない。だが、そんなのを疑ってかかってはきりがない。信じるしかない。といったが普通ならそう思っている。

 栗原はいった。「彼はなにかがおかしい」

 御影は恋愛にはつき物な不安が宿る。川上ならよくわかっている心情だと悟る。

“依頼は出張先の行動をしりたい。逐一報告がほしい。どこにいってだれに会っていたか、写真も送信してもらいたい。すべて携帯電話のメールで報告がほしい。ほぼリアルタイムの情報なら信じられる。その信じる証拠の情報量が多いほど、彼をこのさき信じていける気がする”と懇願してきた。

 御影は、あっ、そう、それしか言い返せなかった。だが、引き受けるかは自分がまだ権限がないため、相談するから、待ってて、といってミーティングルームを出た。

 御影は森谷に相談する。それと同時に小柴の耳にもとうぜん入った。近くにいるためしかたがない。

 栗原は北区の端に住んでいた。それであの教習所に通っていたことがわかった。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

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