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SF・ファンタジー・ホラー

RAT <二十四>

   

目が覚めると見たこともない場所に居た。真っ白に包まれた部屋。その部屋の中で何が起こったのか必死に思い返していた。すると扉が開き、またもや白に包まれた人が入って来た。

 

 
 外に放り出された俺は黒服のSPにタコ殴りにされた。硬いローファーの底で何度も顔を踏まれた。一人の男が俺の髪の毛を持ち、もう一人の男が俺を起き上がらせる。と、正面にいた男が俺のみぞおち目掛けて大きな拳を食い込ませた。息をする事で誠意一杯な俺だったが、腹を圧迫された事で胃に溜まっていたシャンパンが逆流し、男の背広目掛けてマーライオンだ。それに怯んだ所で山根と森、高崎、吉高が割って入ってき、全員に手錠をかけパトカーを手配した。
 地面で死んだ魚の様になっている俺の元に京子が駆け寄ってきた。
「酷い、こんなのやりすぎよ。ねぇ大丈夫……生きてるよね」
 京子はそっと俺の手を握った。その手を僅かに残っていた力で握りしめた。そこで俺の思考は停止した。

 目が覚めると見た事も無い真っ白な部屋にいた。一瞬「俺、死んだのかな?」と本気で思った。どこを見渡しても白。何が何だか解らなくなっているところで、遠くの扉がユックリと開く。そこから出てきたのはやはり白い衣服を身に纏った男女であった。
「あっ、目覚められましたね。どうですか? 気分が悪かったりしませんか?」
 白い女が俺に尋ねる。
「身体中が痛いです。それに息もしにくくて、苦しいです」
「昨晩の記憶はございますか?」
「昨日……いえ、何が何やら……」
 白い男が腕組みをしながら口を開いた。
「貴方は昨晩、大男五人相手にタコ殴りにされたんです。そのため頭部の内出血が三箇所、これは皮下での内出血なのでそこまで心配は要りません。手足に痺れや吐き気などは無いですよね」
「はぁ、今の所は」
「そして肋骨が四本折れています。これも幸い肺に刺さっておらずコルセットの治療で大丈夫です。息苦しいのはそのせいでしょう。そして胸骨にもひびがはいっています。これに関しては特に治療が必要というわけではありません。まぁ全治三週間ですね」

 

-SF・ファンタジー・ホラー


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