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ノンジャンル

会わなければよかった 前編

   

須磨子・つぐみ・冴子は小学校から続く女友達で、社会人になると次第に疎遠になっていったが、ひと月前の同窓会で久しぶりに三人が顔を合わせた。
その時は懐かしむことで楽しいひと時を過ごせたのだが、須磨子からの呼び出しで、三人の関係に亀裂が入り始める。
須磨子が持ち込んだ三十年目の真実とは?

 

 
 須磨子が待ち合わせの場所に着くと、すでに冴子とつぐみが来ていた。
 軽く手を挙げながら早歩きで彼女たちに近づくと、冴子は少し苛ついた顔つきで、長い髪の毛をかきあげる。
 その癖は昔も今も変わらないらしい。
 昔のつぐみは痩せの大食いだったけれど、家庭に入り専業主婦歴が続くににつれ、食べた分だけ成長し続けたみたいな姿をしている。
 痩せていた頃は比較的美人の部類だったけれど、四十手前になった三人の女性の中では一番早くに女の部分を捨てたような恰好をしている。
 ひと月前の同窓会では、かなり無理をしていたらしい。
 ちょっとそこまで買い物に――という格好と言ってもいいくらいの服装でそこにいた。
 女性管理職に就き、独身を貫いている冴子は歳よりも少しだけ若く見えるけれど、それ相応にお金をかけているのがわかる。
 金をかけた分だけの若さを維持しているのだと須磨子にわかるのは、彼女が以前、その手の職に就いていたからだった。
 最後に姿を見せた須磨子は若くして結婚をしたけれど、性格の不一致などで三十路手前で離婚、円満離婚だったようで、時々今も会っているらしい。
 離婚してから初めて働いた須磨子の数年は、生きていくのが精一杯で、女を磨くゆとりなんてなかったが、やっと四十手前でそのゆとりが出来たらしい。
 三人の中でそこそこ年相応の外見を保てている。
 そんな三人は小学校から大学までずっと学友で親友だったが、大学を卒業すると次第に疎遠になっていく。
 須磨子の結婚式、数年後つぐみの結婚式で会ったのが最後、それからひと月前の同窓会まで直接会うことはなかった。
 ――というのは、須磨子が離婚した際、仕事に関しての相談をした相手が冴子、夫婦仲の相談をしていたのが、後々主婦になったつぐみで、つぐみと冴子が連絡をとることはなく、三人の関係は須磨子を介して続いていた。

 

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