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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

プラチナ・フィンガー〜女王陛下のダイヤモンド〜<5>

   

 本文よりの抜粋:
 特殊捜査部門の捜査官として、高橋美由紀は接近戦格闘技を身につけている。
「本当に抑止力のある武器は、スポーツバッグの中にあるのでは、ありませんか?」

 

 高橋美由紀は、瞬時に身を起こした。
 なぜ、私が警察官だと知っているんだ、という当然の疑問である。
 しかも、ダイヤモンドが盗まれるかもしれない、その当日の、その現場である。
 怪しい、と思うのは当然であった。
 特殊捜査部門で高度な訓練を受けた頭脳と身体の反応は、速い。
 高橋美由紀は、身を起こしながら、大光寺克己の腕を掴もうとした。
 マッサージ師を拘束しようとしたのだ。
 しかし、大光寺克己の腕は、掴めなかった。
(姿勢が悪い、見当が狂ったか!)
 高橋美由紀は、もう一度、手を伸ばして、腕を掴もうとする。
 だが、空を切る。
(躱されているんだ!)
 足で蹴り上げる。
 これも躱された。
 それは計算の内であった。
 大光寺克己が身体を傾けた隙間を利用し、一回転して起きあがる。
 ベッドから飛び出すと、邪魔になる浴衣を脱ぎ捨て、壁を背にして身構えた。
 ここまで、一秒間の出来事であった。
 下着姿で、油断なく身構える。
 目でハンドバッグを見た。
 ハンドバッグの中には拳銃がある。
 特殊捜査部門の捜査官として、高橋美由紀は接近戦格闘技を身につけている。
 普通の人間なら、数人を相手にしても勝てる。
 マーシャルアーツをマスターした者に対しても、自信は十分にあった。
 このマッサージ師も、柔道かなにかを知っているようだが、負ける気はしなかった。
 だが、敵を拘束するならば、素手よりも武器を持っている方が良いに決まっている。
 ハンドバッグの中の拳銃を取り出したい――。
 しかし、ハンドバッグは、ベッドサイドの机の上にあり、取ることは不可能であった。
 高橋美由紀は、身構えながら詰問した。
「あんた、何者? 何故、私が警察官だって、知っている」
 大光寺克己は、困った顔つきになった。
「ただのマッサージ師です、はい」
「何故、警察官だと知っているの」
「それは……、推理で……、余計な事を言ってしまったなぁ」
「推理?」
「すいません、私、推理小説が好きなもので」
「……」
「怪しい者じゃありません」
 大光寺克己は、ゆっくりとベッドを出て、部屋の隅に立った。
「警備部長の有馬さんに問い合わせてくれれば、分かりますよ」
 ベッドサイドの机にある電話機へ、指を向けた。

 

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