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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season4-5

   

 水桐は栗原を尾行するも、なんの反応も行動もない。淡白な暮らしをしている。

 川上が抱くなにか不穏な動きなんて微塵もない。

 火曜の夜、御影たちが大阪にいった二日目の夜だ。栗原が真っ黒な服装で原チャリで闇を疾走したのだ。

 まさかの行動に水桐は尾行を断念。追いつくだけの足がなかったのだ。

 厄介な小娘に手こずる水桐。森谷が車で追尾するが、見失ってしまう。

 栗原の行動を、毎夜、水桐と森谷は車で追尾するも、原チャリの小回りがきくせいで、逃げられてしまう。

 そして、金曜、福留は昼間のうちに東京へむかう新幹線に乗った。

 御影は帰りの新幹線で、衝撃的なメールを栗原から送られていた。

 

 水桐は、栗原の尾行をはじめた。しかし、これといってなにもない。北区に住んでいるが、昼間は行動らしい行動はなにひとつない。

「ひきこもっているの、昼間なのに、二十歳そこそこの若い娘が、わたしならむやみに出歩くってのにな。つまらない子ね」

 マンションの二階の角部屋に住んでいる。ジャージすがたのまま部屋をでると、コンビニエンスストアで買い物をしてはすぐに部屋にもどる。
 一人暮らしなのは知っていたが、仕事はなにをしているのか検討もつかなかった。

 実家からまだ仕送りしてもらっているのだろうか。

「彼女のプロフィールはたいした情報が記載されてない。仕事も未記入。なにもない。まぁ、そこまで要求することもないし、顔見知りだからってことで御影くんに一任しちゃってる。探偵事務所としては落ち度ね。氷室さんがいたら確実に注意される。軽視しての対応だったな、とかね」

 火曜の夜、彼女の住む二階の角部屋の明かりが消えた。
「就寝時間のようだ。もう11時か、わたしもおなか空いたな。休息とろうかしら──」

 そのときだった。栗原 毬の部屋から、彼女が出てきた。

「え、どうして?」

 真っ黒の衣服を着用し、リュックを背負っている。これもまた黒色だ。

“まるで泥棒”、そんな印象を与えるのは、闇に紛れ込もうとしているような意思を感じとっていた水桐だった。

 そして、マンションにとめてある原動付き自転車に乗って闇の道路を疾走していった。

「くそ、原チャリ持ってたなんて──」

 水桐は黒い細めのジーンズにヒール。花柄のワイシャツに赤い革ジャンを着こんでいた。目立つ格好だったが、わりとひとが行き交う賑わいのある道沿いだったため、地味な格好のほうが逆に目立ってしまう。

 森谷が運転してきた車でこの場所にきたが、森谷も別件対応の依頼があったため単独で見張りを頼んでいたのだ。

 水桐は電話をした。「森谷さん、ターゲット、ロスト、ごめんなさい。原チャリで逃げられて、追いかけられない。タクシーもない道だから、どうしよう…」

 森谷は、すぐに迎えにいく、といって通話は切れた。

 水桐は30分待った。そのあいだもタクシーを待ってみつけようとしても無意味だと気づいた。
 どこに栗原は向かったのか検討もつかなかったからだ。

「森谷さん、もう追いつけないよね?」
 森谷の運転する車の後部座席に水桐は潜るように乗り込んだ。

「まぁ、しかたない。あすは私も待機しよう」

「でも、今夜だけの行動だったとしたら、どう?」

「それは狙っていたのは今夜で、そのために行動へ移したと? 明日以降はその必要がなくなるというのか」森谷がバックミラー越しに水桐と顔を合わせながら会話をした。

「そうね。わからないけど、とにかく彼女の行動はなにもわからない。おなじ女でも意味不明。大地ちゃんのほうがよかったかもね。似たもの同士で…」

「どうかな、それはわからないぞ。でもあやしいなにかがあって動いたのなら、それはつきとめねばあるまい。御影くんもまた、なにかを感じとっているからこそ、川上くんが私に頼んできたのだから」

「うん。厄介な小娘だわね、まったく」

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

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