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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

プラチナ・フィンガー〜女王陛下のダイヤモンド〜<6>

   

 本文よりの抜粋:
 多くの客が、苦痛の呻き声を出し、咳き込んでいる。
「誰かに調べさせてちょうだい。何か分かったら、その録画を見せて貰う」

 

 電話は中央警備室からの連絡であった。
「何! 爆発! 五分で行くわ」
 高橋美由紀は、瞬時に身を起こした。
「大光寺さん、マッサージ中止」
 大光寺克己は、一体何事なんだろう、と興味深そうな顔をしたが、黙って出て行った。
 大光寺を送ることもせず、高橋美由紀は、服を着た。
 ハンドバッグとスポーツバッグを取り上げる。
 部屋から廊下へ出る。
 右へ行けば、客用のエレベータ、左の先には、業務用区画へ入るドアがある。
 一瞬の躊躇もなく、左へ向かう。
 業務用区画の中には、業務用エレベータがあり、廊下の端には、非常階段があった。
 時間が惜しい――。
 高橋美由紀は、非常階段を駆け下りた。
 五階の展示会場へ着く。
 ここまで、三分であった。
 展示会場の廊下は、白い煙で覆われていた。
 多くの客が、苦痛の呻き声を出し、咳き込んでいる。
 高橋美由紀も、目が痛い。
 それを気にも留めず、人混みをかき分けて、展示会場へ入る。
 煙を通して、中央のガラスケースを見る。
 ダイヤモンドは無事であった。
 ガラスケースを、警備員が囲んでいる。
 その脇で、警備部長の有馬剛史が指示を出している。
 ダニエル・ライアンが部屋へ飛び込んできた。
 有馬剛史は、二人に、手短に言った。
「爆発、催涙ガス、ダイヤは無事、けが人不明」
「廊下に出ましょう」

 

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