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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

44口径より、愛を込めて episode16

   

 隠された真実に腹を立てる魔夜に、更なる不幸が襲いかかる。
 そして、明かされる大雅の過去。

 本格的ミステリー44口径より愛を込めて!!

 

 ようやく陽太君に会えたのは、翌日の十七時頃だった。
「魔夜さん、昨晩はすいません。丁度張り込み中だったんで」
 店に来た陽太君は、何食わぬ顔でヘラヘラと言うので、私は無言でファイルを彼に投げつけた。それを見て、唖然とした大雅が私に歩み寄る。
「ふざけないで!!」
 怒鳴りつけた私に、陽太君は怒ったような目を向けた。
「……仕事中だったんで、電話に出れ…」
「馬鹿にしないで!!」
「…………」
 陽太君が床に落ちたファイルを、無言で拾い上げた。
「惚けないで! 私達は、一体何なの? 神里星に、何があったの? 水上爽介は、誰に狙われてるの? 何の為に? 何故、事実を偽ってまで隠そうとするの?」
 私は、早口で捲し立てた。頬に、生暖かい筋が一本通ったのが解る。
「……魔夜さん、気が済みましたか?」
 宥めるように発言した陽太君の言葉に、私の中で何かが切れた。
「魔夜!!」
 気付くと、大雅に抑えつけられていた。それでも、振り払おうと必死に暴れた。一発、殴ってやりたかった。
「離せ!! 大雅、離せ!!」
「魔夜、落ち着け! 何があったんだ? 陽太、どういう事だ?」
 ムカつくくらい冷静に、陽太君が述べる。
「知って、魔夜さんは冷静でいられるんですか? 今ですら、そんなに取り乱して。本来は、隠す事も偽る必要もないんです。ただ、最初は混乱させるのを防ぐためでした。今は…傷付いて欲しくないと思っています。会社もケンさんも魔夜さんが全てを思い出すことを望んでいますが、俺は思い出さなくていいと思っています。知らない方がいい」
 私は、はらはらと涙を流していた。
「……解決しますから…」
 そう呟いて、陽太君は店を出て行った。
「魔夜」
 惨めだった。

 惨めな私に、更に追い打ちがかけられる。
 ケンさんが張り込み捜査に出てから一週間後の早朝。第一次コーラカル・アヂーン大量虐殺事件アジト跡である無人倉庫にて、ケンさん、加藤健作の死体が発見された。
 どうやら、悪魔は本格的に牙を剥いてきたようだ。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド


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