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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

『蒼色推理』−雪銀館事件− 第五章「雪密室の氷解」 2の1

   

礼拝堂に集まった事件関係者たち。
蒼野は、最初の殺人である毒入りワイン事件のトリックを解明して行く……。

 

 
「皆さん、寄って集って、何をしているのですか?」
「俺が小塚先生の携帯で、あなたが持っている小雨さんの携帯にメールで呼び出した時点で、もう言い逃れはできないかと思いますが。それにその拳銃は何ですか?」
「あら、蒼野先生。私はたまたまこの携帯を館内で拾って、誰の携帯かを確かめようと開いてみたら、変なメールが来ていたので、それにそって礼拝堂まで来てしまった、ということではだめですか? それに館内が物騒なことになっているし、あなたの態度がおかしかったので、拳銃を出したのですが、変ですか?」
 水波先生は自信に満ちた声でそう宣言した。おそらく、まだトリックが見破られていないという自負だと見受けられる。
「俺は、この館で起きた三つの事件のトリックを暴くことによって、あなたに辿り着いた。あなた以外にこの事件のトリックを実行できる人がいないという結論に至った。だからこうして今、あなたを呼び出し、みんなを集めた」
 しばらく沈黙が続いたが、彼女は切り返してきた。
「アハハ……。蒼野先生。冗談はいいかげんにしてくださいよ? 私に犯行は不可能でしょう?
 まず、最初の毒入りワイン事件。あの事件は私も被害者だったはずですよ? 一緒に毒入りワインを飲まされたじゃないですか? そのときに運悪くたまたま小雨さんが死んでしまったのでしょう? 第一、誰がワインに毒を入れたかなんて、どうやって特定するんですか?
 それに大江戸先生の密室殺人だって、部屋に鍵がかかっていて、足跡のない雪密室の二重の密室で先生が殺害されたって、あなたがみんなの前で言っていたでしょう? 私は密室の鍵なんか持ってないし、それを持っているのは大江戸先生本人と黒井さんでしょう? 密室のこと以外にも、私にはあの夜、鉄壁のアリバイがあるはずよね? 先生が何時に殺害されたか知りませんけれど、そのアリバイを証明してくれるのは、蒼野先生本人ですし、一緒に応接間に泊まり込んだ皆さんよね?
 それから小塚先生のときもそうでしょう? 先生はあの夜に館前で何者かに撲殺されたわけでしょう? この一件も私には皆さんと一緒に応接間にいたアリバイがあるし、第一、男の人の力じゃないとあんな撲殺はできないでしょう?
 どうですか、蒼野先生? 私には鉄壁のアリバイがあるし、どの犯行も私が行なうには不可能が多すぎませんか?」

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド


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