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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season4-6

   

 嘘に塗り固められた女は謝罪するも、御影はただ落胆するだけだった。

 利用されるために近づいてきた栗原。そして、静かに怒りをみせる川上、森谷、水桐だった。

 すでに夜逃げ同然の栗原の部屋は空っぽだった。探偵を駒扱いする子猫を捜すことに本気にさせてしまった。

 追い詰めることに御影は同感する。ほかの探偵が総出で捜索しているのに、御影は落ち込んではいられない。

 そこに雲田から、まさかの連絡。雲田は栗原が初めて探偵事務所にきたときから罠に嵌めていた。意図的ではなかった。偶発的なことだったが、今回それがみごとに役にたった。

 栗原の居場所を、突き止める。そして、ほんとうの狙いを語りはじめる栗原だった。

 

“ごめんなさい。御影さん。あなたはとてもいいひとね。素直に信じてくれて助かりました。でも、途中で探偵の方がわたしを尾行していることに気づいたわ。あやうく素性がバレるところだった。もう仕事は終わったから、あなたの前から消えます。依頼料は現金書留で御影さん宛てに送ります。けっこう高くついたけど見返りは数十倍だったわ。まさかわたしがやろうとしていることをこういう発想でなんとかできたのは助かったわ。
 教習所で知り合えた御影さんがまさか探偵とはね。驚きました。でもそれを利用しないわけにはいかない。わたしにはそれを使う必要があったの。福留という男は、わたしの彼氏でもなんでもない。むしろ彼はわたしのことなんて知らないから。彼氏の浮気調査なんて真っ赤な嘘”。

「なんて女、嘘なの?」水桐が取り乱す。

 つづきを読む。

“ただ、彼を見張っていてほしかった。そして、その状況を逐一報告してもらいたかった。それだけの依頼だった。呈のいい言い訳よね。でもおかげですみやかに事は運べた。
 ほんとうはわたしが張り込むつもりだった。そのために自動車の免許取得したの。探偵のように福留を監視するためにね。
 でも、あなたのおかげで、すべて万事OKなの。すべてをこの手に奪えたから。
 木曜の夜にはすでに完了していた。女流探偵さんには無駄な労力をさせて申しわけなかったわね”。

 水桐のことをいっている。「気づいていたのね」

「勘は冴えている。いい目を持っているのだろうね」川上がいった。

“福留が出張多いのを知ったのは偶然なこと。喫茶店で話を聞いてしまっただけ。それでこの男を選んだ。
 サラリーマンでスーツすがたのひとを探っていけば、すぐにわかるし、尾行していればその人物なんて丸裸にできるくらい情報は得られるから。自宅や勤務先。あとはちょっと電話かけて呼び出せば、どこの部署でどんな地位でいるかわかる。
 それでつきとめたの。わたしは彼があの会社の社長である福留の息子であると。
 彼の財産を奪いたかった。それだけのためにあなたを、あなたたちを利用させてもらった”。

「いい度胸しているこの女──」川上がいった。

“免許の本試験でおもわず漏らしたあなたの言葉で、自分でやらずに、ターゲットの情報を逐一得られる方法を思いついた。ありがとう”。

「つまりが、御影くんと出会ったからこの発想が生まれたということか」森谷がうなずいた。

“このメールを受け取るころには、福留の自宅では大騒ぎになっているかもね。
 ありがとう。ほんとうにありがとう。これでわたしは自分の未来を開拓できるだけの準備が整ったわ。
 一生忘れない。探偵さんたちへ、感謝しています”。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

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