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SF・ファンタジー・ホラー

RAT <二十七>

   

 遂に廣瀬が指名手配された。容疑は連続女子怪死事件と松本殺害の容疑だ。テレビに映る山根がとても頼もしく見える。

 

 
 朝から何やらうるさい。昨日は呑んだくれてソファーで寝てしまった様だ。想像はしていたが、体を起こした瞬間、電撃の様な痺れが脳に轟いた。やっぱりか、だが想像以上の頭痛だ。それになんだこの音は? シャッシャッシャッと止めどなく響いている。ベランダのガラス戸を少し開いた途端、轟音が部屋中に響き渡った。
 あぁ、夏なんだな……と感じている度合いではない! 何故最近はクマゼミが都内にいるのだ? 昔はミンミンゼミとアブラゼミの二重奏だったが、今はテノールが参加し三重奏だ。
 そもそもクマゼミは南国の虫で、比較的涼しい関東以北には生息していなかった。地球温暖化のせいなのか、樹木の移植のせいなのか。どっちにせよこれは夏を満喫できる音ではない。大阪の人はこんなうるさいクマゼミの声を聞いて、夏だなぁ~っと感じるものなのか? 
 先ず俺は温暖化が二酸化炭素や排気ガスのせいだとは思っていない。地球が産まれて四十六億年。その間に十万年周期で氷河期が来ていたと云うではないか。なら、冷え込む前に温まる。これは自然現象だ。
 俺は歯を磨きながらガラス戸を閉め、クーラーをガンガンにかけた。何が二酸化炭素だ! どんどん排出してやる! 俺はかなりの悪人だろう。

 

-SF・ファンタジー・ホラー


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