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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

プラチナ・フィンガー〜女王陛下のダイヤモンド〜<7>

   

 本文よりの抜粋:
 エレベータ、階段、それに廊下に警備員が配置された。
「おい、金庫から、あれを持ってこい」

 

 一時間後、鑑識の調査が終わった。
 調査員たちが出て行く。
 爆弾の破片、焦げている紙袋、収集した催涙ガス、それに、不審な男が写っていたモニターの録画など、警察に戻って分析するのだ。
 その頃には、煙は、ほとんど排出されていた。
 だが、催涙ガスの異臭は抜けていない。
 それに、展示品のケースの中に、まだ煙が残っている。
 ダイヤモンドのケースは、二重で、その間に窒素が充満しているので、煙は入っていない。
 しかし、他のケースは、隙間から煙が入っていた。
 有馬剛史は、展覧会の会場をきれいにする段取りを考えた。
 ――先ず、ダイヤモンド以外のケースを開く。
 ――煙を完全に除去する。
 ――そして、空気を消臭する。
 ――最後に、ケースを元へ戻す。
「そういう手順になるわね」と、この場の責任者である高橋美由紀は同意した。
 ただし、作業をするのは、すべてホテルの人間で、顔を知っている者に限定することにした。
 人数が限られるので、作業に時間はかかるだろうが、確実性が最優先なのである。
 この階へ入るエレベータ、階段、それに廊下に警備員が配置された。
 関係者以外は、通行禁止なのだ。
 また、ダイヤモンドのケースを囲むようにして、四人の警備員が立たされた。
「いいこと、雨や槍が降ろうと、猫と犬が落ちてこようと、絶対に、動いちゃだめよ」
「は! 死守します!」
 四人は、声を揃えた。
 高橋美由紀は、スポーツバッグからマシンピストルを取り出すと、警備員の一人に手渡した。
 ダニエル・ライアンは、黙っている。
 国際的な捜査組織にいる者にとっては当たり前の用意だ、という態度であった。
 有馬剛史は、そこまでやるのか、と高橋美由紀に聞いた。
「そうよ。急襲されたらどうするの。ダイヤモンドを死守しなければならないわ」
「そうですね」
 有馬剛史は、中央警備室へ電話した。
「おい、金庫から、あれを持ってこい」
 やがて、警備員が持ってきたのは、三丁のトンプソン・サブマシンガンであった。
 ダイヤモンドを守る三人の警備員に、それぞれ一丁ずつ渡す。
 高橋美由紀は、何も言わずに、サブマシンガンを見つめた。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

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