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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

プラチナ・フィンガー〜女王陛下のダイヤモンド〜<8>

   

 読者の皆様へ:
 批評、コメントを歓迎いたします。
 でも、『ネタバレ』だけはご遠慮下さい。

 

 ホテル・クイーンでは、最上階のレストランが、朝七時に開かれる。
 眠りから覚めつつある東京を見下ろしながら朝食を食べるのも、なかなか気分のよいものである。
 さすがに、客の数は、まだ、多くない。
 数組の客が、窓際の席にいるだけであった。
 高橋美由紀は、レストランに入ると、厨房に近い奥の席に座った。
 純粋な客ではないから、という遠慮である。
 夜が明けて、警備を引き継ぎ、部屋でシャワーを浴びた後に、レストランに来たのだ。
 ダニエル・ライアンと一緒に、朝食を食べる約束をしたのである。
 ともかくも、予告された一夜は終わった。
 だが、まだ展覧会は続く。
 展覧会が終わるまで、高橋美由紀とダニエル・ライアンは、ホテルに泊まり込みで警戒を続ける予定であった。
 男がレストランに入ってきた。
 高橋美由紀に軽く会釈をしながら、やはり、奥まった席に着く。
 それは、大光寺克己であった。
 仕事上がりなのであろう。
 白衣ではなく、背広にネクタイという姿であった。
 この姿だと、営業で地方から出張してきたサラリーマン、という風貌である。
 もう管理職になるはずの年齢なのだが、出来が悪いので、まだ外回りをしている――、そんな雰囲気なのだ。
 高橋美由紀は、軽く笑った。
(本当に、さえない感じね)
 もちろん、嘲笑ではない。
 その逆である。
 そこに、ダニエル・ライアンが入ってきた。
 ゼロハリバートンの旅行ケースを持っている。
「高橋さん、私は、すぐに出発します」
「どうしました」
「連絡が入りました。シンガポールで宝石が盗まれました」
「!」
「どうも、シルバー・キャットの仕業らしいのです」
「東京に注意を引きつけておいて、その隙に……」
「そうらしいです。シンガポールに行って、捜査しなければなりません」
 これから成田まで行き、そこからシンガポールへ飛ぶ、とダニエル・ライアンは言った。
 すぐに現場へ行きたい、という気持ちは、捜査官の高橋美由紀にはよく分かるのであった。
「でも、朝食をとるくらいの時間はいいでしょう?」
 二人は、コンチネンタル・ブレックファストを食べた。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

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