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SF・ファンタジー・ホラー

RAT <三十一>

   

 俺は病院に行くことにした。しかしその病院の先生はとんでもない先生だった。そして発覚する大変な事態!

 

 
 パッと目を覚ますと見慣れない光景が広がっていた。茶色いシミだらけの板張りの天井。無造作に置かれた楽器達。磨りガラスの格子が俺のベットに影を落としている。どこだここは? 上体を起こすと、体に痛みが走る。その痛みに起こされた様だ。そうか、昨日ここに引っ越してきたんだ。
 俺は枕元で寝ているラットを突っついて起こした。ラットも俺と全く同じ反応をしている。
「お前もびっくりしたか! ははっ! 今日から新しい生活がはじまるんだぜー」
 そう言って、両手でラットを持ち、高い高いをしてやった。しているうちに手の中で暴れ出して俺の左目に上に落ちた。ラットの細い爪が俺の傷口に突き刺さる。

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 勢いよく扉が開き京子が入ってきた。そして血まみれのラットをみて発狂した。

「ラットちゃん! どうしたのっ、早く手当しなくちゃ」
「違うんだ、こっちだよ。こっち。ラットの爪が……」
 京子はしばらく間を置いてから怒鳴った。
「もうっ!」
 そう言ってバタンと扉を閉めた。
 怒ることはないだろう……そう思い、痛む体を無理やり起こして居間へ出た。なんか焦げ臭い。キッチンでエプロンを羽織り料理している京子を覗いてみると怒鳴った理由が分かった。手際よく調理しなきゃいけない卵焼きが焦げていたのだ。悪い事をした。
「京子、ごめん」
「もういいから、顔洗っといで。昼間からゾンビは中々現れないよ」
 渋々、俺とラットは風呂場へ行き顔を洗った。ラットの腹にも俺の血が付いている。少しお湯を出してラットを洗った。湯加減が気持ちいいのか、目を細めてリラックスしているみたいだ。俺もやっと血が止まったので絆創膏をはって居間に戻った。
 食卓にはふっくらと仕上がった卵焼きと味噌汁、ご飯が並べられていた。コップに冷たい麦茶がひんやりと汗を掻いている。早速席に着き、箸が出て来るのを待ち、三人で〝いただきます〟をした。引っ越して初めての朝ごはん。とても新鮮に感じ、あらゆるパワーがみなぎって来る。だがふと携帯を見て愕然とした。もう二時半だった。それもそうか。徹夜した挙句、結構呑んだのだ。もうこれは……仕方がない。

 

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