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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

プラチナ・フィンガー〜女王陛下のダイヤモンド〜<9>

   

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 読後感想の書き込みを歓迎いたします。
 しかし、『ネタバレ』は、なさいませぬよう、お願いいたします。

 

 高橋美由紀は、大光寺克己に聞きたい事が山ほどあった。
 だが、質問に時間を取るよりも、行動を起こす方が先だ、という状況であることは分かった。
 高橋美由紀は、携帯電話を取り出すと、指紋を撮影した。
 画面上で、背景を消し、コップの表面で湾曲している形を平面へ直し、コントラストを強めた。
 そして、それを国際捜査連合へ送る。
 フランクフルトの郊外にある、国際捜査連合の巨大なデータベースは、三十秒で検索を終えた。
 結果が高橋美由紀の携帯電話に表示されるまでに要した時間は、二分五十秒であった。
「カール・テイラー、窃盗を主とし……、殺人も辞さず……、国際指名手配が……」
 高橋美由紀は、青ざめた。
「先ほどの話では、成田へ向かうとのこと。仕事が終わった以上、出来るだけ早く日本を離れるつもりでしょう。ともかく、手配した方が……」
 高橋美由紀は、成田へ連絡を入れた。
 また、ホテルの玄関へ電話を入れ、彼が乗ったタクシーを特定した。
 そして、警察の交通課へ電話を入れる。
 成田へ着く前にでも、身柄を拘束出来れば、それに越したことはないのだ。
 手配が終わると、大光寺克己が話し始めた。
「警備部長の話では、昨晩は、すべて顔見知りの人達で作業をした、とのことでした」
「それが、いちばん確実よね」
「ただ一人、見ず知らずなのは、ダニエル・ライアンでした」
「しかし……」
「それで思い出したのが、高橋さんが痴漢に遭われた、という事です」
「でも……」
「マッサージしているときの電話では、弁護士が引き取りに来た、とのことでした」
「そうよ」
「リストラされたという男が、弁護士を雇えるでしょうか?」
「あ!」
「しかも、弁護士に連絡した、という行動が冷静すぎる」
「じゃぁ、あれは……」
「そう、仕組まれたもの。わざと痴漢行為をしたんです」
「何故?」
「高橋さんを引き留めるため」
「引き留めておいて、羽田に着いた、本物のダニエル・ライアンと入れ替わる――」
「ええ、おそらく本物は、もう殺されている……。国際捜査連合からの情報では、殺人もする人間らしいですから」
「あの電車に私が乗ることが、どうして分かったのかしら……」
「おそらく、ずっと高橋さんを尾行していたのでしょう。高橋さんなら、目立ちますから、尾行は簡単だったと思いますよ」
「でも、おかしいわ……」
 高橋美由紀は、身分証明書に書かれていた識別コードを確認したことを話した。
「インターネット経由でしょう? どこかで侵入することは可能だと思いますよ」

 

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