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SF・ファンタジー・ホラー

RAT <三十三>

   

 廣瀬と田口は繋がっていた。目的は何なのか。
 警察は機動隊を突入させる準備をした。

 

 
「何ですって? 廣瀬が……何で廣瀬が絡むんです?」

(それは我々も度肝を抜かれました。アイツ、俺らの目の付かない所でコソコソと何かやってやがったんだ。斎賀さん。それで田口って男の事は分からないですよね)

「田口……ちょっと知り合いに当たってみます。そっちのこれからの行動はどうするんですか?」

(分かりました。宜しくお願いします。我々は暫くここで動向を伺いますが、見張りが何人かいます。これは第六機動隊に応援を頼む事になりそうですね)

「分かりました。また分かり次第連絡します。では」
 電話を切った俺の額には汗が滲んでいた。俺はラットを肩に乗せ直し、帰る準備をした。
「何や帰るんか? たまには飯でも食うていけよ……まぁ彼女が待っとんのやな。そや、前にお前ゆーとったやろ。服部のとこのネズミがしゃべっったって。あれはありえへんで。先ず声帯の構造が違うんや。きっとどっかに拡声スピーカーでも仕込んどったんやろ。話せる程の改造はワシには出来へん。きっと服部にも無理やろ」
 成る程。となるとあの声は廣瀬か。松本を殺し、大ネズミを俺の所まで使いに出させて俺に脅威を埋め込んだ。今回の事で廣瀬が絡んでいると云う事は、そもそも狙われたのは現金ではなくてラットだった。しかしラットはずっと俺の肩の上。下手に手出しは出来ず、取り敢えずの戦利品として現金を奪い去った。いや、現金を奪う企みも有ったのかもしれない。それは八郎に聞いてみるしかない。気は進まないが……
 俺はジジイに礼を言い、車に乗り込んだと同時にイヤホンを携帯に繋いで八郎に掛けた。

(縁は切れたと思ったんですがねぇ~、さすが斎賀さん。ゴキブリ並みの根性だ。さてはこっちに戻ってくる気になったんですかい? 俺は歓迎しますぜ。部下として……)
 俺はイヤホン越しに聴く八郎のネチャッとした声に鳥肌を立てながら、エンジンを掛けた。
「八郎。俺は戻る気もないし、お前に礼を言うつもりも無い。ただ緊急事態だ。田口って奴、お前んとこに居るか?」

(田口は斎賀さんのみぞおちに蹴り食らわした奴ですわ。田口にはブツの管理を任せてるんですよ)

「なら話が早い。お前ん所の田口が行儀の悪い事をしやがった。俺の家に引越し業者の振りをして上がり込んで、お前に貰った現金を丸ごと持って行きやがった。それはお前の差し金か?」

(たっ田口が……まさか田口が。そんな勝手な真似を。斎賀さん、申し訳ねぇ。そんな筋の通らねぇ事させた覚えはないが……)

「ブツはどこに隠してある? 埼玉の山中のトランクルームか?」

(えぇ、なんでそれを? 田口が絶対に安全な場所だって言うから任せてあったんです)

 

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