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SF・ファンタジー・ホラー

RAT <三十五>

   

 ラットがもし目的でなかったとしたら……俺は一つの仮説を立ててみた。すると見えてきた廣瀬の陰謀!

 

 
(秩父山麓で遺体となって見つかりました。心臓に一発。二十二口径です。恐らくニューナンブ式リボルバー。我々警察が所持している銃です。あと、警視庁の保管庫から、押収した薬物のほとんどが消えているそうです。犯人は廣瀬で間違いないかと)
 俺は内心ホッとした。田口が死んだことで、俺が売人だとバレる懸念がなくなったからだ。しかしそれで良いのか? 人間としてどうなんだ? 俺は悩みつつも山根に返答した。

「そうですか。これで手掛かりが無くなりましたね。でも犯人は廣瀬と断定できる。でも、サブマシンガンやら色んな実銃を持っていながら、なぜニューナンブを使ったのでしょうか? 犯人は自分だと証明しているようなもんだ。いやっ、そうか。廣瀬は楽しんでいるんです。山根さんとの追いかけっこをゲームとして」
 そうだ。それ以外理由は考えられない。心底人殺しを楽しみ、捕まるスリルを堪能している。なんて奴だ。

(ゲームだって? 完全に猟奇殺人犯ですね。何か廣瀬を追う手段はないものか……)

「山根さん、一度戻って来て作戦を練りましょう。金丸さん達、もう直ぐ帰国ですよね? じっくり作戦を練って慎重に行動しましょう。服部をあぶり出す為にも、廣瀬を早急に逮捕して尋問すべきです」

(分かりました。今すぐ東京へ戻る準備をします。今夜マンションへ来て頂けますか?) 

「行きます。それと一つ引っかかる事があるのでジジイの所へ行ってきます。また連絡しますね」
 電話を切ると、俺は京子にラットを預け、名取の元へと向かった。
 空は不服そうにため息を吐き、小さな涙を流し始めた。ワイパーの音が一定のリズムを保ち、その音が俺の心にモヤを掛ける。

 

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