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ラブストーリー

「このデートはフィクションです」(女性視点編)

   

レストランでデート中のとある一組のカップル。
一見して普通にデートしているけれど……。
実は、このカップルには人に言えない事情があった。
「彼女目線」から明かされる、このカップルの正体とは?

*本編の(男性視点編)と合わせて読むと、全体像がはっきりわかります。

 

 

 私は今、それなりの自己嫌悪に悩まされている。
 いつもの調子で仕事しているんだけれど、今回はちょっと……。

「鏡屋君、どうしたの? 大好きなハンバーグ食べないの?」

 今、私とレストランで相席している「彼氏」にそれとなく質問した。
 会話が全くないのは気まずいから。
 でも、彼氏に「 」が付くのは、彼が本当の彼氏ではないからなの。

「あ、ああ……。わーい、ハンバーグ好きだな、あはは……。ごめん、ちょっとお腹が痛くて、あまりたくさん食べられないんだ。勅使河原さんこそ、カルボナーラのパスタ好きだよね? 食べないの?」

 今、その彼に「勅使河原さん」なんて呼ばれているけれど、実はこれ、私の本名ではない。「勅使河原倫世」(てしがわら・ともよ)というのは、私の仕事での仮の名前。設定はちょっといいところのお嬢様役。年齢も少しサバ読んで、二十三歳ということに設定。

 そして、この「鏡屋」さんだけれど、名前は鏡屋四朗(かがみや・しろう)さんというみたい。年齢は二十五歳で、ちょっといい企業のサラリーマン。まあ、経歴はいいみたいだけれど、色々とださいかな。

「う、うん……。私もちょっと今日は胃が痛くて……。あはは、変ね、私たち、好きな食べ物を好きなレストランで食べているはずなのに、どうも箸(はし)が進まないわね……」

 一応、こういうふうに答えておこう。
 私の胃が痛いのは、あんたのせいよ!
 なんて、言えないしね。

 それはそうと、鏡屋さんの方も体調が悪そうね?
 何か悪いものでも食べたのかしら?

 結局、私たちは、碌にランチも食べずに解散することに。
 この後の恋人ごっこがない分、今日の業務は楽ね。

 

-ラブストーリー

このデートはフィクションです <全2話> 第1話第2話