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ラブストーリー

遅ばせサンタ 一昨日の談話

   

 彼女ができて初めてのクリスマス。だがクリスマスの存在をすっかり忘れていた。
 参った彼は友人にそのことを打ち明けてみる。

 

 
 クリスマスの存在をすっかり忘れていた。

 だから奴から「二十五日、暇?」とメールが来た時、普通に空いていないと答えてしまった。
 もともとその日はバイト先の先輩の頼みを聞いて、シフトを変わっていたから、どうせ無理だったのだけれど。
 かなり苦しい言い訳だ。素直に忘れてしまったと言えばよいが、嫌だった。

 どうして今さら、翌日のキリストの生誕祭を忘れていたことをこうも悔やんでいるのか。
 クリスマスといえば、リア充にとっては三大イベントの一つに入ることだろう。去年まではどんなにこの日に興味がなかったことか。
 だが今年は違う。彼女ができて初めてのクリスマスだ。忘れてよかったはずがない。一緒に過ごすのが恋人同士の夢ではないのだろうか。まんまと夢を壊してしまった。

 本屋で働いているのだが、開店時刻の十時から二十二時まで二十五日はずっとバイトだった。先輩は週に二回しかシフトを入れていないのだが、一日にやる時間が異常に長かった。
 まさか変わったシフトをまた誰かに変わってくれと言うことはできなかった。そもそも従業員が少ない。ここで抜けたら、他の人に迷惑がかかってしまう。参った。

「何が参ったんだよ」

 友人が戻ってきた。手にはカプチーノとブラックコーヒーが握られている。ブラックコーヒーを差し出してきた。受け取る。向かい合う形で友人が座った。
 今日は終業式だったので、学校は午前終わりだ。暇な午後を利用して何かしようと、前々から約束していた。だが結局今日まで何をするのかが決まらず、男子高校生には似合わない、カフェでお茶をしようということになった。

 

-ラブストーリー


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