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不思議なオカルト研究部 第三話 酒場の守り神 後編

   

「どうしてなんでしょう? そんなことが在り得るんですか?」
 在り得るも得ないも、そもそもオカルトを「在る」ものとして考えているところが、この一回生もいよいよ部員らしい。
「まぁ、在り得ちゃうみたいね」
「うむ」
 緑ヶ丘と柳田が肯定する。そして、そんなカルマの事情を如実に語るエピソードが、柳田の口から語られた。

オカルティズムのマスター、通称カルマさん。彼の行う百物語と彼の事情とは――。

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 ボサボサの長髪を後ろで結んだカルマが四人の座るテーブルに次々と注文の品を運んでくる。その顔が、品数が増える度に泣きそうに歪んでいくのが直也には気の毒でならなかったが――しかし蟒蛇とはこのことだ。直也の前に、二匹の蟒蛇がいた。
 一匹は緑ヶ丘。こちらは良い感じに上気した笑顔で、次々と凝ったカクテルを流し込んでゆく。酒豪とはこのことかと直也は思った。
 そしてもう一匹が柳田である。こちらは酒はそこそこに、メニューにある料理を片っ端から注文していた。食べるペースも尋常じゃない。プロのフードファイターのようである。
 そんな二人を前に直也は気が引けて(勿論カルマにだ)、隣の石動はいたってマイペースときている。変なサークルだと直也はずっと思っていたが、現状、飲み会もやはり変なのであった。
「あの、こんなに良いんですか? あのテープ一本で――」
 苦笑いで言う直也であったが、食い気味に緑ヶ丘が言う。酔って勢いはいつもの三割増しだった。
「いいの! さあ! あんたも飲みなさいよ! 今日は直也! あんたの歓迎会よ! 徹底的にぱぁっとやるんだから!」
 その言葉に、新しいカクテルを運んできたカルマがビクリと震えた。きっと彼には、より物騒な言葉として響いたに違いない。「この店ぶっ潰してやる!」みたいに。
「ばっ、馬鹿野郎! 緑ヶ丘! てめぇは遠慮って言葉をしらねぇんだ! ちくしょう……ぐすっ…」
 またしても泣きそうになっているカルマである。しかし、そんな彼に無慈悲にも説教垂れるのがまたしても緑ヶ丘とは――。
「なによカルマったら、そんなに嫌ならもっとキッパリ断って見せればいいじゃない。それがあんなに物欲しそうにして――それじゃ付け込まれたって文句は言えないわよ」
 付け込んでいるという自覚があるのが驚きである。ともあれ、カルマがカクテルを置いて言った捨て台詞が、直也にはどうにも気になった。
「るせぇ! なにが『求めよさらば与えられん』だ! こちとらお前らのように、ホイホイ怪奇現象にゃ遭遇できねぇんだよ! くそっ、ちくしょうぅぅ…ばかばかばっ!」
 そうして萎れた背中を遠ざけていくカルマであったが、直也はアレ? と思った。
「あれ? カルマさんって、筋金入りのオカルト愛好家なんですよね?」
「そうよ? それがどうかしたの?」
「いえ、だったら、このサークルがしているようなフィールドワーク、カルマさんもするんじゃないかと思って。それなら何かしら怪奇現象の経験を持っていて良さそうですが、今の言葉聞く限りだと、何も経験が無いみたいな――事情があって遭遇できない……みたいな…そういう感じに聞こえたんです」
「ふん、ふはほはふふほひははいは」
「部長……食べながら喋らないで下さい…」
「うむ、なかなか鋭いじゃないか――直也、お前はカルマを何歳だと思う?」
「え? えっと……」

 

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