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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season6-6

   

 御影はさっそく上倉の逮捕について謝罪した。だが、上倉もだれかをかばっていると指摘する。そうでなければ下田を殺したことで証拠もないのに自白などしない。

 この工場内に、真犯人がいることを御影はいった。上倉を釈放したことも第三者の口添えがあってのことだった。
 その名をくちにしなくても、全員が驚いていた。

 御影もまた、ある人物からの挑戦によって、フェイクの依頼に踊らされていたのだ。

 それが氷室探偵なのだ。近頃の御影は調子に乗っている。そこでちょっとしたいたずらをしただけのことだ。
 もしこれをクリアできれば、それはまちがいなく見習いから昇格するというもの。

 だが、御影は見誤った。氷室もまた机上の空論でしか推理はしていなかった。それゆえに上倉がしたことを推理できていなかった。
 氷室探偵もまた推理をはずし、上倉を釈放させるよう願い出たのだった。

 しかし、すべての真相にたどり着くのには、御影が仲間の協力尽力を得て、氷室の推理を覆す。

 そしてついに真犯人の名を告げる。あまりにも意外すぎて、全社員が唖然とした。

 

 周囲を見渡す。30名くらいの社員がいる。社長、工場長、課長、リーダーなど、事務員の女性もいる。今日は派遣やアルバイト、パートは休みだった。
 いま工場の作業場の空いているスペースでいつも朝礼を行ったり、荷物を収集し出荷するスペースに関係者すべてが集まっていた。

 御影はつづける。「わたしがさいしょ、浅草の下田さんの自宅で上倉さんをすべての犯人だと思い指摘しました。だが、それは浅はかだった。情報をすべて知り得た状況でなく、疑わしいという疑念だけで判断を急がしてしまい上倉さんを警察に出頭させてしまった。自白したこともあり、これで事件は解決だと思いましたが、ちがうことがわかりました。そのことについて深くお詫び致します。ですが上倉さんもひとがわるい。なぜ、やってもいない下田殺害を自分がやったと自白したのですか、そして釈放されたことに憤慨していますね? もう少し口論すべきだった。下田の自宅でのとき──」

 上倉は蒼白な顔になった。そのことはだれもこの工場内にいる社員はしらないからだ。そして、上倉に視線が集まる。

「質疑応答はしないでください。どうも人数が多いですので、ひとりが言い出すと波紋を呼ぶ。なので、わたしが話します。上倉さんは、だれかをかばって自白したのです。つまりが真犯人がほかにいるということです」御影はいった。

「なら、それはだれなんだよ?」社員の永田が御影に問い質した。

「ええ、それはこのなかにいます」御影がそういうと、あれだけ私語は謹んでもらいたかったが、永田をきっかけに連鎖のように唇が開きやすくなった。

「静かに!」但馬工場長が制した。

「ありがとうございます」御影は礼をいった。

「つづけて」但馬はいった。

「釈放の経緯や、さまざまな事件の状況について、わたしの仲間である川上探偵が上倉さんが釈放されたときから尾行してました」御影はいった。

 上倉は顔をあげた。その視線は一瞬だが眼球が動き、おそらく川上を見つけようとしたのだろうが、男女の区別もわからないため、まだ名前と顔が一致していない大地と川上に視点が交互に動いたのを、御影は見ていた。

 そう、このとき御影は探偵の目、プライベートアイが発動している。この場にいるすべての容疑者らしき人物の行動に目をむけて逃さないように鳥かごのなかにいる状態で高みから見下ろしている。

「上倉さんを釈放したのが、だれかわかりますか?」御影はこの場にいない者に上倉の怒りの矛先を向けさせ、挫こうとしていた。

「だれだよそれ?」上倉がいった。

「それは我が探偵社代表です。あなたも顔と活躍はご存知でしょう。テレビにも出演してますからね」御影はいった。

 全員が目を丸くさせていた。

 

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