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SF・ファンタジー・ホラー

RAT <四十六>

   

 ラットが倒れた。下手人は首のない男だった。狂気と猟奇に満ち溢れたその男が迫ってくる。

 

 
 ラットのモモ辺りから血が滲んでいた。それでも必死に立ち上がろうとするラット。俺はラットに覆いかぶさるようにラットを守った。立ち上がらせまいとした。だがラットは立ちあがった。震える足でなんとか立ちあがった。俺は着ていたシャツを脱ぎ、ラットのモモにきつく巻いた。そしてラットを抱えると、車へと走った。再び銃声がした。髪の毛に弾ががかすめる。
「高崎さん! あれは松本さんの体を乗っ取った廣瀬です。容赦は入りません。前に言っていた仇を討って下さい!」
 俺はラットを車の中へ入れると、皆の元へと走った。
「高崎さん!」
 高崎は信じられないようで、膝を震わせながら銃を構えている。再び銃声がした。高崎が倒れた。肩を撃ち抜かれたのだ。
「くっ……俺には、俺にはできません。たとえあれが廣瀬だったとしても、俺には親友の体に弾をぶち込む事なんて出来ません!」
 首の無い松本の姿をした廣瀬は目も耳も無いのに、こちらへ突進してくる。山根と吉高が一斉射撃した。見事十二箇所の関節に穴を開けた。手首、肘、肩、股関節、膝、くるぶし。廣瀬はぐしゃりと倒れこんだ。筋肉がピクピクと動いているだけで。もう攻撃はしてこない。山根が心臓にトドメの一発を打ち込んだ。それでもう廣瀬が動くことは無かった。
 吉高が駆け出し、高崎の応急処置をした。幸い、弾は貫通していて、骨も砕けていない。止血をして高崎が立ちあがった。
「松本……すまん……」
 

 

-SF・ファンタジー・ホラー


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