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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season7-3

   

 御影と水桐は銀座でシャネルの店で買い物をしていた。はじめて御影はプレゼントを女性から貰った。

 見習い探偵の認定を受けたが、それがどうにも納得いくものではなかったが、周囲の励ましによって向上心を持ち直したのだ。

 そこに築地警察署警部である朝永 源一が現れた。恫喝の口調がインパクトある警部だ。

 なにやら事件が起きたというのだ。

 水桐探偵は朝永警部に手を貸す。

 御影は蚊帳の外だった。協力しないのは、水桐が探偵社から依頼を受けた案件ではなく、プライベートで勝手に金銭目当てで引き受ける依頼だったからだ。

 御影はそれはやってはいけないことだ、と注意すると警部は恫喝を吐いた。
 水桐も探偵モードになったためか、冷ややかな目になって御影を凍てつかせるほどだった。

 貴金属店の店主が殺され、宝石類が盗難にあっている。時価にして数億ほど。

 内筒 宏警部補がふたりの戯れのような会話を阻む。すると一枚の写真から、推理を展開しようとしたとき、また新たな刺客が舞い込んで、いや迷い込んできた。

 遠藤探偵、新橋でEND-Oリサーチ社を経営している。見た目どおり小男で、小だるま探偵と呼称されている。
 この男の登場で、水桐探偵はかつてない窮地にあうのだった。

 

「あら、警部さん、こんにちは何事?」水桐とは面識があったようだ。

「水桐名探偵、これはこれは調査ですかな?」警部はいった。

「相変わらず洞察力、観察力が足りないわね」水桐が年上の警部にタメくちで言い返す。

「わかってますよ。買い物でしょ、シャネル。高級品だ」笑顔だが、少々水桐の横柄な態度に困惑気味なのが見てとれる。

 御影がシャネルの紙袋を持っている。水桐の購入したものだと理解している。

「やるじゃない」微笑む水桐だった。

 御影は少し視線をずらした。するとパトカーが数台停まっている。店舗前で警官も数人なんらかの事件の捜査をしているようだ。

「見つかっちゃったかな」警部は茶化すようにいった。ちょっとだけ手伝ってくれないかな?」

 水桐は首を振る。「調査の依頼なら探偵事務所をとおしてもらわないと」

「なら、個人的な相談ということで」耳に囁くようにいった。

 ニンマリと微笑む水桐だった。「いいわよ」

 警部も微笑んだ。

「水桐さん、事務所からの依頼じゃないと受けちゃまずいでしょ」御影がいった。

「だれだこいつ、さっきから一緒にいるみたいなのはわかっていたけど、まさか彼氏じゃないよな?」警部が厳しい顔で御影をみた。

「ちがうわよ、こうみえても氷室探偵社の有望な新人探偵くんよ。今年入ってまだまだ見習いだけど、着眼点でみたらあなたより優秀よ」
 御影を褒めちぎっている水桐だった。

 御影は怪訝な顔で水桐を見ていた。その顔に気づかず、水桐と警部は対話をつづけていた。

「そう。べつにかまわない。とりあえず水桐探偵、手伝ってくれるかな?」警部は御影の主張を無視した。

 水桐は考えこんでいた。それはこの場で解決してほしいなら、見合うだけの報酬をよこせという笑みを浮かべていた。

「わかっている。それなりの見返りはしっかりと」囁くように水桐の傍に寄り、御影にはきこえないようにいう警部を、御影はさらに険しい目つきでにらんでいた。

「そう、そういうことなら」水桐は同意する意思をみせた。

「水桐さん、まずいって」御影はぼそっといった。

 水桐はあしらうようにいった。「いいのよ」おそらく個人的に収入が入るからだろう。冷たい顔、態度、心だった。声や言葉にはトゲがある。
 もはや御影への温情ある素直な水桐は帰ってこない。

「若造、黙ってろ。水桐探偵は承諾した。それにわたしのほうが付き合いが長い。もう三年になる。いいな、口を閉じて下がっていろ、“見習い”」警部が釘を刺した。恫喝するように高圧的でいけ好かないタイプの警部がいたものだ、と御影は押し黙った。

「どうなってもしらんからね」御影はそっぽをむいた。

 水桐は、手を振って事件現場へむかっていった。

 

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見習い探偵と呼ばないで! Season7 <全8話> 第1話第2話第3話第4話第5話第6話第7話第8話

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