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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season7-4

   

 次々と暴いていく遠藤探偵の推理。その目は五感をフル稼動させてのものだった。

 水桐、御影は明らかに遅れをとっていた。ここまでひとは変わるものか、と思わせるほどの名探偵ぶりに水桐は憤慨していた。
 そして御影にいたっては遠藤探偵を認めていた。その鋭利な推理に落ち度はなかった。

 そして犯人ひとりが逮捕された。水桐は衝撃だった。御影はその犯人の素性を水桐から聞かされて度肝を抜かれた。
 関連性はないが、まさかの接点。

 水桐が内偵している会社の社員だった。遠藤探偵の推理は冴え渡り、推理したとおり裏づけまでとれたと警部から連絡があった。

 水桐が負けたとあれば氷室探偵事務所の汚点となる。勝手にプライベートで依頼を受けて報酬をガメツクせしめているが、これはその油断からくるしっぺ返しとなるのだろう。

 遠藤探偵は成長したのだ。氷室探偵事務所の探偵はほんのりと認めはじめていた。

 だが、もうひとりの犯人、店主を射殺した人物に水桐は当たりをつけていた。それだけはまだ遠藤は知りえないことだった。
 勝算はそこにあると御影は狙いをつける。

 水桐が抱いていた疑問を膨らました。遠藤探偵の成長に疑問を晴らすアイデアが浮かんだのだ。

 すると発動された。水桐探偵の、探偵としての目が冷ややかに。

 

 犯人ひとりが捕まったと、水桐に連絡があった。

「なんですって、それはほんとうに?」水桐は驚愕していた。

 探偵社はいっとき騒然となった。

 御影だけはなんのことか察した。「水桐さん、おとといの土曜、買い物に付き合わされたとき、築地警察署の警部から強盗事件の依頼を頼まれたんですよ」

「またか。彼女はたまによそで勝手に調査協力しているみたいだが、やはり金銭もとっているのかね?」森谷がいった。

「そあ、それはよくわからないですけど」御影は黙っていた。「でもそこに別の探偵が介入してきて、その探偵が水桐さんよりもはやく事件解決の糸口をみつけて次々解き明かしていくものだから、信頼を失いかけているんですよ」呆れ顔で淡々といった。

「へぇ、水桐探偵そんなことやったりしてんの?」川上が興味本位で聞いてきた。

「どうもその探偵のことが嫌いみたいで、いまもまたあの態度だ」御影は説明した。

 水桐探偵は落ち着きない態度でスマートフォンを握りしめ険しい顔で大声をあげ、事務所内を歩きまわっていた。

「大地さん、脅えない」御影は大地がソファの影に隠れているのを見て注意した。

「ごめんなさい。べつにいまの水桐さんに脅えているわけではないですけど」大地は立ち上がった。

「わかってます──」
 水桐の過去の顔をしってしまったせいで、荒ぶる態度に恐怖心にあおられている。御影もたしかに怖いとは思っている。

 スマートフォンの通話を切った水桐。御影に即座に振り返り意義を唱えた。
「なんなの、ほんとうに、どうしてこうなるのかしら」水桐の怒気は御影に向けられた。

「どうしたんすか?」御影は身構えた。やはり怖い。

「遠藤探偵、あの小男が犯人のひとりをみつけた。いま事情聴取よ」

「へえ、すげーな、開花したんじゃないすかやっぱり」御影は最初の印象そのままとらえていた。

「なぁ、遠藤探偵って、小男って呼ばれている探偵なんてひとりだけ思いつくのがいるけど…」川上が思い出していた。「まさか新橋にあるEND-Oリサーチ社の“小だるま探偵”か?」

 御影はうなずいた。「“小だるま探偵”って、おもしろいネーミング」

「マジかよ、出し抜かれたのか、あんなちんちくりんな探偵に、子ども探偵だろ」大笑いしている川上だった。

 大地も背をむけて笑いをこらえていた。肩が震えていた。

「大地ちゃん」静かに低く水桐が大地を嗜める。

 ささっと、大地はソファに身を隠した。

「猫か」御影は大地のすばやい行動をみていった。「それよかさ、犯人ってどんなやつ?」

 水桐は御影をにらんだ。

「あなたは思いだすわね。わたしが内偵している人材派遣会社の社員よ」

「なんだって?」御影は困惑した。

 川上はなにも言わずに水桐をみた。大地も顔だけのぞかせた。森谷はちょうどそのときオフィスに入ってきた。「どうかしたか?」

 

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見習い探偵と呼ばないで! Season7 <全8話> 第1話第2話第3話第4話第5話第6話第7話第8話

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