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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

44口径より、愛を込めて episode33

   

 警察を名乗った男達に連れられた先は!?

 本格ミステリー“44口径より愛を込めて”

 

 大雅が驚き、少し動揺した声で返事をすると、男は「お待ちしています」と言いながら扉から手を離した。
 閉められた扉の向こう側から、鉄の階段を打つ足音が響く。男は、階段を降りていったようだ。
「魔夜、準備して」
 私は頷き、ストールと鞄を用意し、出掛ける準備を済ませた。大雅はと言うと、WARTHER-P99に銃弾を込めている。それを見て、ふと陽太君から貰った気休めなのかギャグなのか解らないお守り袋を思い出し、鞄の中に入っている事を確認した。陽太君はともかく、この中にはケンさん大明神が入っている。きっと、私に勇気をくれるはずだ。
「大雅」
 私が彼の名を呼ぶと、大雅は私の気持ちを察したのか「只の、護身用だよ」と言った。
 一通り外出準備を済ませ、玄関を開けた。先程より激しくなった雨は、玄関前の通路まで叩き付けるように降り注ぎ、文字通り土砂降りとなっていた。
 私は、身体を守るように、ストールを肩から巻き付けた。ロングスカートのシンプルなカジュアルワンピースを着ていたので、多少汚れても構わないスニーカーを履いた。
「大雅、傘いるかな?」
 先程の男が待っている車までなら、走れない距離ではない。
「いいよ。魔夜が使いたければ使いな。俺は、走るから平気」
「私も、走るよ」
 二人揃って玄関を出ると、青白い雷が鳴った。大きな音に驚いて、思わず大雅の腕を掴んでしまった。
「大丈夫?」
 大雅の声に、私は頷いた。
 大雅が玄関の鍵を閉め終えるのを確認し、二人で走った。階段の直ぐ下に車は待機しており、その中に男が二人、運転席と助手席に乗っていた。私達が乗り込むと、先程の男(助手席側)が機嫌良く話しかけてきた。
「急にすいませんでした。しかし、凄い雨ですね。先程までは、まだマシだったんですけど。急にですよ。本当に」
 本当に、堪りませんね。と男は笑った。
「こちらこそ、お待たせしてしまって、申し訳ありません」
 大雅が、表情の無い声でそう返した。
「では、行きましょう」
 男は笑うのを辞め、少しつまらなさそうに、そう運転手へと言った様に思えた。
 激しい雨音と、ワイパー音が車内に響く。ワイパー動作は最速だと思われるのだが、それを無にするかの如くに、雨は勢いを増していた。車はゆっくりと動き出し、私達を乗せて、闇の中を走り出した。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド


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