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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season7-5

   

“クール・ド・アイ”。冷ややかな瞳。

 水桐探偵の奥の手。いや武器となる探偵の目だ。
 妥協せず、冷徹に鋭く見切るその目はだれもが凍てつく。

 遠藤探偵は、まずい相手側の土俵にあがっていることをしらないのだ。

 だが、たがいに最後の犯人の当たりをつけていた。が、一歩水桐はすでに素性を掴んでいる。
 遠藤はどこでどうやってもうひとりの犯人の行方を探るのか。

 運転をしていた道代を逮捕。池袋のロッカーから宝石を発見させたことは、すべて遠藤の功績になっていた。

 警部が水桐に助言を求めないのは日ごろの鬱憤を晴らすためだった。
 遠藤を利用して。

 水桐はもうひとりの犯人の素性を探るため、内偵していた会社へ出社した。
 そして自席のパソコンで情報を閲覧した。犯人の名前を入れ、登録情報から推測しようとしていた。

 そして、当たりをつけた情報を水桐は記憶した。中野区へ向かうことになるが、同僚が呼び止めた。
 すると警察以外にも、探偵から連絡があったという。そして犯人の交友関係を調べている。

 水桐はその探偵がだれかわかっている。だがその先はまだ掴めていないこともまたわかった。

 遠藤が遅れをとっている。

 中野区へ向かうふたり。犯人の自宅へ赴いた。しかしすでに逃げている。応答がない。すると水桐は御影の考えを求めた。

 影のようにサポートをしていた御影が客観視しながらの視立てがあった。
 そのまえにある人物の手助けを求めるため電話をする。

 水桐はスマートフォンに表示された名前を見て、舌打ちをした。

 

 水桐は憤慨していた。「ほんっと、いや」スマートフォンをみている。

「どうしたんすか、水桐さん」御影が声をかけた。

「しってるでしょ。あの小男、まだ確証はないけど汚い手を使っているんだわ。じゃなきゃなにか裏がある。ぜったいに…、そうでなきゃこんなにもどんどん解決していけるわけない。わたし、いやあなたもいたのに、先に気づかれている。推理が冴え渡っているなんてものじゃない。なにかを知っていたのよ、あの男は──」

「ええ、疑念を持ったらキリはないですけど、ちょっと疑いの余地がありますね」御影の意見が変わった。

「そうでしょ、犯人もひとり確保、貴金属のありかも掴んだ。すべての功績はあの小男になっている。なにが狙いなのかしら」水桐は憤慨していた。

 御影もそれはまだわかっていない。だが、水桐探偵と同じように、いち社会人なら仕事をしたいだけなのだろう。無能、無能と虐げられていたら、なにか姑息な手段を使ってでものしあがるしかない。氷室探偵事務所には、目先の利益に飛びつく衝動的な感情はあるにせよ、仕事には実直で実力で得ている。不正はないのだ。

「スマートフォンのニュースですか、ほう」御影は水桐のスマートフォンを覗き込んだ。

 すると水桐はスマートフォンの画面を御影にむけた。

「あとはもうひとりの犯人だけ」

 御影はニュースをみた。池袋のロッカーから銀座の貴金属店で強奪された宝石類が発見された。とトップニュースであがっている。

「はぁー、先をこされた。最後の犯人はなんとかなりそうだけど、お宝をみつける手段はわたしたちにはなかった。車に手がかりがあったようね」水桐はいった。

「そうみたいですね。朝永警部たちは水桐さんの協力を遮断しているとみえる。おそらく遠藤探偵に託しているのでしょう。この事件に関して」御影はいちおう励ますようにいった。

「どうかな、わからない。なんとなくいつもとちがう。朝永警部は自分ではなにもできないダメ刑事よ。これまで捜査の仕方ですら他人任せなひと。わたしやほかの探偵を使って証拠を集めさせて、裏でこそこそといつも脅迫じみた恫喝で街のゴロツキから情報を集めさせていた。そのなかでもわたしは有能だったから、わたしには頭があがらない。でもこんかいはわたしよりも優れた助言者が現れて、そいつでわたしに対抗しようとしている。おそらく見返すつもりでね」
 水桐には朝永の考えが手にとるようにわかっている。普段がそういう態度と対応で接していたため、いつか挑戦されると思っていた。
 それすらも屈服させるつもりでいたのに、それが通じなかった。

「これでわたしは、金脈のパイプをひとつ失ったわね」水桐は生活の金脈を失うことを嫌悪していた。

「そうでもないですよ。結果がすべて。それと大人社会は手のひらをひらひらと覆す」御影はまたそれなりに励ました。

「いいこというわね」水桐はまんざらでもなかった。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

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