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ラブストーリー

レンタル彼氏(1)

   

彼氏の居ない松下由香里。
友人のしおんに「レンタル彼氏」の話を聴いて、断然興味が湧き始めた。
そろそろ結婚を意識しなくてはならない年齢ながらも、やはり男性にどこか、夢やロマンを求めてしまう由香里の、「レンタル彼氏」体験はどうなる事やら…。

 

最近は「女子会」と称して飲む機会が、段々と減ってきた。
松下由香里は、今年29歳になる。
見た目は美人ではないけれど、それなりの美しさはあり、薬局事務と言う職業柄、あまり派手でな印象でもない。
長い髪を後ろでまとめているのは、やはり薬局と言う緊張感と衛生面を考慮した髪型で、一番無難だと思われるからで、別にその髪型が気に入っている訳では無いのだが、似合っていないわけでも無い。

今まで、学生時代の友人達との「女子会」も、卒業後の新社会人になりたての頃は、週に一度はそれぞれの近況報告や、勤務先の愚痴を言い合ったりしていたが、25歳を過ぎたころから、それも少なくなってきた。
それぞれに、恋人が出来、結婚し、出産・育児と言う流れ的に、集まれる人数は、今ではごく少数となっていた。

由香里とその友人の、園田しおん、片岡千恵が、予約していた居酒屋に付いたのは、夜の7時を回った頃だった。
この時期は、忘年会シーズンでもあった為、やっと予約が取れたのがこの店だったのだ。

女性も入り易そうなその居酒屋は、全てが座敷席で個室の為、男性客よりも女性客の方が多いようだ。
店側も、そこを狙っているのか、店内の従業員も、女性より男性の方が多く、所謂「イケメン」と言えそうな従業員が、元気に走り回っている。

「いらっしゃいませ。何名様ですか?」
「今日予約していた松下です。」
「お待ちいたしておりました。こちらのお席です。」
とイケメン店員に奥の座敷席へ案内された。

やっと席について3人は賑やかに語り始めた。
「さっきの店員イケメンだったね」
と言いながら、コートを脱ぎハンガーにかけながら園田しおんは話し始めた。
しおんは、3人の中では、一般的な「美人」の部類に入ると思われる。
色白で整った顔立ちに、黒髪の美しいストレートのロングヘアがそれを更に際立たせているようだ。
アパレル企業の営業と言う仕事柄、少々男勝りの部分もあるが、なぜ今まで彼氏を作らないのかが、不思議なくらいだ。
「そうかなぁ?それ程でもないよ。それに若すぎでしょ?」
と片岡千恵もジャケットを脱ぎながら語りだした。
松下由香里も
「そうねぇ。ちょっと年下かしら。それにもうあんまり男性にも興味なくなってきちゃったかな…って感じなのよね。」
と話すと、しおんと千恵は、呆気にとられた顔をして言った。
「まさか、仕事が恋人とか言わないでよね!」
と、しおんは呆れた顔でメニューを由香里に渡すと、すかさず知恵も
「まだまだ充分私たち、売り時だからあきらめちゃダメよ!」
と躍起になってまくしたてた。

 

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