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童話

ルナードアイランドストーリー <四>

   

 人生で初めての四人での朝食。その後にロノとティアは小川へ向かった。そして発覚するティアの故郷……

 

 
 居間に皆がそろった。
 初めての四人での朝食。
 人生初めての。

 遠くの方で鳥がささやいた。
 まだ始まりだよ。

「ティア、今日は島の西側へいってみようよ。島で唯一の小川があるんだ!」
「本当に? あたし、小川は大好きなの」
「きっと色んなお花が咲いてるよ。今見頃なんだ! さぁ行こう!」
 ロノはティアの手をとった。小川へ行けば、また何か思い出すかもしれないと。

 あまりこの島には雨が降らない。
 雨季以外はほとんどが晴れている。
 しかし島の水源は尽きることなく、山から海へ流れ出る。
 街から小川へは、歩いて三十分ほど。東の山へ行くよりも、道も綺麗で色鮮やかだ。
「昨日のはなしなんだけどさ。おじさんが言ってた話って本当かな?」
「うん。私も始めはビックリしたの、でも色々と重なるところがあったわ」
 昨日の夕食で、おじさんが話したはなし。
 若い頃、夢の中で、夢のような綺麗な小川の畔で目を覚ました。
 青い花に囲まれた、小川のせせらぎがまだ耳から離れない。
 そこで誰かに出会い、小川の先の花畑を越え屋敷に招かれたという。
 昔の話だから良く思い出せないといって話はそこまでだった。
「うん。だと良いんだけど、もっと詳しく思い出してくれないと……」
「ロノ。おじさまも言ってたでしょ! 焦っちゃいけないって」
「うん、そうだね! きっと大丈夫だよ! うん!」
 ロノは自分に言い聞かせるように、ティアに励まされたことに、素直に頷いた。

 小川へ着くと綺麗な赤い花が咲いていた。
 名前も知らない、いい香りのする花が小川を縁取るように咲き乱れていた。
 水浴びをする小鳥達や水を飲みにやってきた鹿の親子。
 この小川は島の全ての生き物の支えになっている。
「わぁー! 綺麗。ロノ、とっても素敵な小川だね! この赤いお花はなんて言うのかしら?」
「ごめんよー。僕、草花はあんまり詳しくないんだー。でもいいところだよね。夏になると、海から魚が戻ってきたり、蝶々やトンボ達で大賑わいだよ!」
「素敵! 今は秋なんだもんね。今が夏だったら良かったのに……」
 少し残念そうにティアは言った。
「でも、今でも十分素敵よ! あの仔鹿だって、お母さんと一緒でとても幸せそう。私もよく小川でママと花摘みに来たの。青と白のお花で腕輪を作ったりして……」
 急に黙り込んでしまったティアにどう言葉を掛けていいのか分からなかった。
「チョットまってて! ティア」
 ロノは急に走り出して、何やら探し物でもするかのように、地面を這った。
 しばらくして、ロノは少し顔を赤らめて背にかくしていたものをティアに渡した。
「ロノ、ありがとう! 素敵な腕輪!」
 ロノはもっと顔を赤らめて顔をそらしながら言った。
「青と白の花じゃないけど、僕だって意外と器用なんだ……」
「本当に素敵! 私も実は」
 ティアはロノの手に腕輪をつけた。
「ロノが作ってくれている間に、私もつくってたの。お母さんに教えてもらって良く作ってたから、おそろいだね」

 

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