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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season7-7

   

 遠藤探偵事務所の電話が鳴ったことが不自然だ。なぜなら不通になっているからだ。

 プライベート回線があり、それは遠藤の家族しか知らされていなかった。
 だから警部からの電話ではないとわかっていた。

 御影たちの責め苦に中断できることができて救いの母からの電話にご機嫌よく電話にでた。が、そうではなかった。

 相手は最後の犯人から直接電話がかかってきた。知りえないプライベート回線からだ。

 遠藤は水桐と御影に救済を求めた。自分がいかに不甲斐なく、滑稽であるかを認めた。だから泣いて頼んだ。こんどの頼みは土下座までした。

 朝永警部と水桐の間で作戦を練った。一方的に水桐からの提案をつたえ、警察に配備させた。
 もっとも犯人からの要求の指示に対処する捕獲作戦を講じたまでだ。

 朝永警部はすぐにその提案に警部補とともに、豊洲ららぽーと内1Fを囲んだ。
 宝石類を入れたロッカーに近寄るひとりの男。犯人の降木だ。警部の合図とともに確保に成功した。

 だが、まだ終わりではない。

 遠藤の母親の居場所がわからなかった。警部は尋問する。
 降木は母親の居場所を吐いた。だがタイムリミットを過ぎたとき、それはとんでもない卑劣な罠が仕掛けられていたことに警部たちは蒼白した。

 

「はい、母ちゃん?」遠藤は電話にでた。名乗ることもない相手が母親だとなぜすぐにわかったのか。

「はっ? なんだおまえ」電話口の相手は男の声だった。

「あれ、ひとちがいか。どなたですか?」遠藤は思い出していた。探偵事務所の電話番号はいまは不通にしている。金が払えず閉じていた。だが、もうひとつ回線がある。それは実家の母親との電話をするためだった。
 第三者が知りよしもない電話番号だ。母親いがいからかかってくるわけがない。
 水桐たちの責め苦にあい、諍いが中断できて救いの母からの電話だと思ってご機嫌よく電話にでたが、そうではなかった。

「まちがい電話? それとも勧誘かな?」遠藤はゲラゲラと笑っていた。

「調子乗るなよ探偵さんよ」男はいった。

 相手はだれに電話をかけているかわかっていていま対話をしている。そしてその対話の続きを望んでいるようだ。

「わたしのことがだれかわかってて電話をかけているのか?」遠藤はいった。

「ああ、遠藤探偵だろ。銀座の貴金属店強奪事件を調査しているよな。そしておれを追い詰めていっている。だが失敗だったな、テレビでインタビューにも答えて素性は明らかだ。メディアに露出するなんてバカだったな。こっちもとうぜん仲間が捕まって、宝石も没収された。証拠を車に残してきた。道代のバカがよ」男はいった。

「おまえ、店主を射殺したもうひとりの犯人か、どうしてこの番号をしっているんだ。この番号は探偵事務所の番号ではない。自宅の母親と話すための電話番号だ。公にはしていない。友人にも教えていないんだぞ」遠藤は脅えていた。

「そりゃそうだ。母親を誘拐したからな。番号は母親の携帯電話のアドレス帳にはいっていたからかけているんだろ、アホかおまえ!」男はいった。

 遠藤は言葉を失った。

「おい、きいているのか。いいか、いちどしかいわないからな。警察にはぜったいにいうなよ。貴金属を取り戻してこい、さもなければ躯の母親と対面することになるぞ。確実にだ。この電話が最後だ。言うとおりに動けよな。さもないと最悪な結果になるぞ。脅しじゃない。19時に豊洲のららぽーと内1Fのセンターポート、エレベーターホールにあるロッカーに宝石類を入れたバッグを入れておけ。入れたロッカーには目印として赤い布切れの端を出しておけ、いいな」犯人はいった。

「ちょっと、そんなことできない。貴金属類はすべて警察が回収して保管している。取り出すことは不可能だ」遠藤は妥協してもらおうと必死だった。

「ふざけるなよ、そんな言いわけ無意味だ。いまじゃ警察と共闘しておれを捕まえようと躍起になっているんだろ。だったらそうならないように考えるんだな。知性ある探偵ならお手の物だ。じゃなきゃ母親は死ぬだけだ」冷たくあざ笑う犯人。

 顔をメディアに晒してしまったせいで情報がしられてしまった。迂闊だった。

 実家の情報をどこで調べ上げたのかわからないが、遠藤はもはや泣きべそをかいていた。頭は沸騰している状態になるといつも母親が助言して冷やしてくれていたからだ。

「19時がリミットだ。いいな。もし1分でも遅れたら母親は確実に死ぬ。おれにも止めることはできない。わかったか?」

「そんなぁ──」遠藤探偵は混乱していた。

「そうだ、ロッカーの開閉には必要なことがある。暗証番号だ。それを母親の携帯電話にカメラ機能で撮影して添付したメールを送れ、いいな」

「あ、ああ、わ、わかった」遠藤は適当に合わせていった。なにをいっているか混乱していた。

 犯人からの脅迫。最後に念を押すように警察にはいうな、といって電話を切った。

 母親を誘拐し、貴金属と引き換えの要求だった。

 

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見習い探偵と呼ばないで! Season7 <全8話> 第1話第2話第3話第4話第5話第6話第7話第8話

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