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童話

ルナードアイランドストーリー <五>

   

 新月の夜。噴水からは禍々しい気が満ち溢れ、得体の知れない何者かが姿を現した。
 街を襲う亡者とは?

 

 
 今日は新月の夜。街の活気がなくなっている。噴水には月が映らない。真っ黒くよどんだ噴水から、灰色の鎧をまとった何かが、這い出す様に次々と出てきた。 
 一人の老婆がそれを見ていた。ただじっと、睨みつける様に。

「ティア、灯台へ行こう! 夜咲く月草を探しに行こう!」
 ロノは立ち上がり、ティアの手をとった。
「うん。行こう。前に進まなきゃね!」
 さっきまでうつむいていたティアも、唯一の手掛かりに期待しているようだった。
 すると扉の向こうで声がした。
「何だか危なそうな話ししてやがるじゃねーか。俺もついて行ってやるよ。熊でも出たらロノじゃティアを守れないもんな!」
 ランボルギーニ兄さんが、ニヤリといつものスマイルで親指をぐいっと差し出した。
「兄さん、僕だってティアを守れるよ!」
「知ってるかロノ、熊に死んだ振りは効果ないんだぜ」
「ロノはいつも私を守ってくれてるよ。ありがとう」
 ロノは頭をさすって、少し照れた様子だった。
 ロノとティアとランボルギーニ兄さんで、灯台を目指す。おじさんは店にもどり調べ物をするという。

 噴水から伸びる一本道へ向かう途中、老婆に出会った。声にならない声で何かを伝えようとしていた。しかし何を言っているのか全く分からなかった。ランボルギーニ兄さんが無視して先を急ごうとした瞬間。老婆が倒れた。背中には刺し傷があり、ただ事ではない状況だった。

「おばあさん、大丈夫? どうしたの?」
 ロノが駆けより老婆を揺すった。
 その時、ティアの叫び声が響き渡った。
 灰色の鎧をまとった剣士。それも何人もいる。闇に潜み気が付かなかった。
「まさか、ティアの母さんが言っていた灰色の亡者って?」
 ロノはティアの前で両手を広げ、ティアをかばう様に立った。

「おいおい、こりゃマジかよ。いったいどうなってんだ? こぶしでどうこうって問題じゃねーな。きっと狙いはティアだ。ロノ! 先にティアを連れて灯台に迎え! 親父! 店の地下室からありったけの使えそうな武器を持ってきてくれ!」
 ランボルギーニの店の地下室には、古い武器が沢山保管してある。
 ロノはランボルギーニ兄さんの言動に戸惑った。
「兄さんひとり置いてけないよ」
 ロノは必死だった。
「バカヤロー! お前はティアを守るんだろ。だったら先に行け! 俺なら大丈夫だ。親父が武器をもってくる。俺を信じてくれ。ロノ」
 ロノは少し涙ぐみながら、ティアの手を取り、灯台への一本道を走った。

 

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