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ラブストーリー

レンタル彼氏(4)

   

すっかり『レンタル彼氏』であるサトルへの思いが、恋愛であると妄想し始めていた。
暴走し始めた由香里の気持ちに、少なからず気づいたサトルは、社長に理由を話して、由香里からの指名を断らせてほしいと申し出た。
そんなことも知らずに由香里は、『サトルは私にだけは特別なの』と自分勝手な思い込みを益々深めて行った。

 

 週末金曜日の夜、片岡千恵のアパートに集まって「鍋女子会」をする事になった。
由香里は近くのコンビニで、ビールと、気に入ったチーズを何種類か選んで買って、片岡千恵のアパートにやってきた。
千恵のアパートは新築では無いが、外観はそれ程古びた感じも無く、むしろ綺麗な感じがした。
このアパートの2階の角部屋が千恵の部屋だ。
コンクリートの階段を上がり、千恵の部屋の前まで来ると由香里はチャイムを鳴らした。
「はーいっ!」
奥から千恵が小走りに玄関ドアまで来ているのが外からでもわかった。
ドアが開き、千恵が顔を出した。
「こんばんは、ビールとチーズ買ってきたよ。」
「久しぶり。元気だった?お鍋の用意できてるよ。上がって」
「うん。」
由香里は、コンビニの袋を千恵に渡し、ブーツを脱いだ。
リビングまで来て、コートを脱ぐと、千恵はハンガーを出してくれて、壁にかけてくれた。
「今夜はとまってくでしょう?」
「うん。そのつもり。しおんは?」
「もうすぐ着くと思うよ。さっきLINEで駅に着いたって言ってたから。」
駅から千恵のアパートまでは、歩いて10分くらいだ。
「しおん、相変わらず忙しいのかな?」
「なんだかそうみたいね。今夜は何とか仕事頑張って終わらせたって言ってたわよ。」
由香里と千恵がそんな会話をしていると、ドアのチャイムが鳴った。
園田しおんだ。
由香里は千恵に代わってドアを開けた。
「お先にお待ちいたしておりました」
とおどけて見せた。
「久しぶり。随分ご機嫌ね。なんかいい事でもあったの?」
「それはこれから色々話すわよ。」
「やあねぇ。もったいぶって」
としおんは言いながら靴を脱ぎ、キッチンへ入って来た。
「千恵。久しぶり。これワイン買ってきた。鍋だから白が良いかなって思って白にしたね。」
そう言ってワインを千恵に渡した。
「ありがとう、取り敢えずテーブル座って。今お鍋そっちに運ぶから」
そう言われて、由香里としおんは、リビングのテーブルの周りに座った。
千恵が、土鍋を持ってきてガスコンロの上においた。
蓋を開けると湯気が上がり、中から「ミルフィーユ鍋」が顔を出した。

 

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