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SF・ファンタジー・ホラー

ウパーディセーサ〈一〉

   2016年2月15日  

 何処にでも居る普通の青年。小山眇寨は、ある日仕事帰りの駅の地下で現実とは思えない事件に巻き込まれる。
 聞きなれない着信音が自分の携帯から、周りの人の携帯から、けたたましく着信を告げる。画面を見ると見たこともない、-5148と云う番号だ。周囲の人々はその着信を受話し、耳元へ運んだその瞬間、ビクンと云う痙攣と共に煙のように姿を消した。

 真実とは一体何なのか? これから本当のあなたの世界で起きうる問題。
 親が子供を選ぶ時代。体外受精。
 心の風邪と言われる病気。うつ病。
 あの地震は何だったのか? 地震発生装置。
 過去を変えることは可能なのか? タイムマシン。
 死者ともう一度対面できる。クローン。
 果たしてクローン人間は記憶を共有できるのだろうか?
 これから変わりゆくこの世界に問いかける近未来SFミステリー。

 

 
 僕はそんなに悪い人間ではないと思う。暗闇に隠れ住む悪魔でもなければ、眩い光に微睡む天使でもない。
 生まれた時から運命を背負い込む人なんていない。神も妖怪も幽霊なんて居ない。
 そんな浮世離れした世界なんて小説や映画の世界だ。
 あり得ないものに頼って生きている奴らなんて馬鹿同然だ!
 ずっと思ってきた。

 でも一つだけ。 一つだけ、僕の理論を崩そうとしているモノがある。

 夢だ。現実で汗水たらして働いて、夜遅く帰宅してやっと自分の時間。
 しかし目を瞑るときまって同じ夢を見る。
 黒のランドセルを背負った僕と、赤いランドセルの女の子。
 それからおきる恐ろしい出来事。

 朝は苦手だ。まだ夢と現実の世界を彷徨つつ、冷蔵庫を開ける。冷蔵庫を観ればその人の性格が出るというが、その通りだと思う。大雑把でだらしない性格だ。彼女でもいれば変わるのだろうか。
 そんなことを考えながら、コップにも注がず紙パックのジュースを飲み干す。
 朝ごはんは決まって駅前の喫茶店だ。シャワーを浴び、着替えて会社へ行く準備をする。僕はだらしない性格だが、計画性はある。だから、いつも出勤四十分前には駅前の喫茶店で紅茶とサンドイッチを食べる。遅刻して上司に怒られたくないってのもあるが、出勤前に優雅に喫茶店でお茶をしている自分が好きなのだ。何故かとても大人になった気分がする。
 今の会社は僕が入ってから一年と少したつ。はじめの頃と違って自分が人に指示を出さなければいけない立場になってしまった。本心、立場なんてどうでもいい。ただ毎日働いて、お給料をもらう。それだけで良かった。余計な責任が増えるばかりで、お給料はそんなに上がらなかった。
 だが文句はきらいだ。言うのもきらいだし、言われるのもきらいだ。だからいつも、何も言わずせっせとはたらく。そんな僕に文句を言う奴は居ない。でも内気な性格って訳ではない。気のしれた仲間、幼馴染達との中ではお調子者だ。ただ、人見知りなのだ。
 そんな人見知りの僕が接客業をやっている。世の中は分からないものだ。おっと、決して迷信なんかを信用している訳ではない。

 

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