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ラブストーリー

レンタル彼氏(最終話)

   2016年2月16日  

『レンタル彼氏』である「サトル」を好きになった由香里。
『自分だけは特別』と勝手な妄想が暴走し始め、それに危機感を感じたサトルであったが、その後、友人の千恵やしおんにもなだめられる由香里は…

 

 2月の最初の土曜日。
松下由香里は、いつもの駅前広場に来ていた。
時刻は午後2時、少し前だった。
今日もサトルを指名していた。
じっと、行き交う人々を眺め、先日の「鍋女子会」での千恵や、しおんの言葉を思い起こしていた。
『なぜ、サトルにとって私が特別じゃないって言いきれるの?』
由香里は、下唇をギュッとかみしめて、ボーっと人ごみを眺めていた。
薄いベージュのオフタートルのセーターから、綺麗に伸びた首筋は、異常なほど冷たく感じ、由香里は、白いコートの襟を少し立て、更に力を入れて腕組みをした。

時計が午後2時を指した。
『遅刻とかってあるのかしら?』
赤いパンプスの先を眺めてうつむいていると、男性のスニーカーが目線の先に止まった。
『サトル?いや違う。サイズが少し大きい。誰…?』
由香里はスニーカーの主の顔を見上げた。
どこかで見たことある顔だが思い出せない。
すると、男性は
「松下由香里さんですね?」
と聞いてきた。
ビックリして、コクリと頷くと、その男性はにっこりとほほ笑んで
「良かったです。ワタナベタレント事務所の大地と言います。」
と軽く会釈をした。
由香里はやっと思い出した。

たしか、レンタルのHPのレギュラー彼氏の欄で、サトルの隣に写っていた人物だった。
「私、サトルを指名したはずなんですけど、サトルに何かあったんですか?」
と慌てて由香里は大地に聴いた。
「いいえ。サトルは大丈夫です。ただ急にサトルのVIP会員様からの指名が入って、急遽来られなくなったので、僕が代役で来たんですけど、今日はこちらの勝手なので、キャンセルしてもらっても構いませんよ。」
と大地は言った。

由香里は食いつくように大地に尋ねた。
「VIP会員って何?!その人ってそんなに偉いの?それともお金さえ払えば私もサトルのVIP会員になれるの?!」

 

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