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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season8-4

   

 警視庁の一角で探偵たちは証拠の検証をし直した。刑事の目よりも、探偵としての御影の目が証拠写真から岬の遺体を指摘する。

 岬は二三日の拘束下にあると促す。監禁状態の岬、だが裏を返せば尾澤は第三者に犯人をすり返るだけの猶予があるとみる。

 DNAの不一致。それは別の犯人に仕立てるフェイクがある、御影はその人物を思い浮かべるが、見当がつかない。

 尾澤が犯人だとしたら動機が思いつかない。尾澤のギャンブル人生の不安定さに、岬の収入面は違法であっても貯金が1000万円ある。それを手放すのは合点がいかない。

 検証の論争はたまに脱線するも、情報の欠損的なものがあり、黒川刑事がおもむろに発言した。

 火守探偵の能力、事件のパーツや背景をパズル化させ組み立てていく。その能力は王道であり氷室名探偵も同様の能力であることがわかった。

 御影と火守は、岬のマンションにむかう。そこで御影は科学の裏を取った証拠の矛盾に気づいた。

 

 伯田刑事が証拠類を提示した。「ここにあるのが氷室探偵が集めた証拠の数々です」

 火守と御影はそれをみる。

「おれはもうみているけど、これだけじゃあいつは牢屋に入れることはできない」火守はテーブルに両手を置いた。

「そうかもしれないけど、ここにある証拠は確実に尾澤を示しているんでしょ。おれもひとつひとつ検証してみますよ」御影はいった。

「たいへんだよ。ひとつひとつみるのは…」黒川は御影に難問を突きつけている気分に高揚の笑みを浮かべていた。

「らくでしょ、このくらいの資料しかないなら。任せてよ。ここにある資料、証拠類で、尾澤への糸口を掴んでみせる」御影は火守やほかの刑事たちの前で大見得を切った。

「ほう、頼もしいことで」黒川は憤慨していた。自分より四つも年下のやつが捜査のなにがわかるというのか、と。

「黒川、ひとの心配より、おまえも努力しろ。せめて、若い探偵さんよりもやる気はみせてくれ」伯田が見下していた後輩を指摘した。

「あ、す、すみません」黒川はおなじく資料をみる。

 六本木猟奇殺人事件、警察の捜査の経緯を御影は調べた。

 六本木の高層マンションに住む岬は室内で麻薬を栽培していたことが判明。収入源としてはこれを売買していた。
 尾澤も岬の自宅から20分くらいの場所に住んでいた。おなじく高層マンションで2DKの家賃13万円のところだ。だが無職。収入は競馬やパチンコで生計を立てていたと証言。これはほんとうにそうだった。
 通いのパチンコ店で平日はいつも通い詰めていたことを店員から証言を得ている。

 岬は尾澤に麻薬については話していなかった。尾澤の衣服に麻薬の粉が付着していたが、栽培していることすら気づいていなかった。ガーデニングの一種だと信じ込んでいた。

 尾澤も岬も吸引していない。血液、尿検査で白だと判明しています。

「なるほど、まっとうな女じゃなかったわけだ。交際している男すら騙していた。六本木のマンションでいい暮らしを──」御影は写真を見ていった。「うらやましい」

「おい、趣旨がはずれているぞ」火守はいつも注意をしている。

「火守さんはどんな間取りに住んでるんですか?」御影は路線をずらす。

「関係ねーだろ」火守はあきれ返っていた。

「斉藤さんと同棲しているんですか?」

「なに、もう結婚間近なわけ、おふたりは?」政木警部は気に障ったようだ。

「いえ、まだ」斉藤が答えた。「でもね、そのうち」照れ笑いしていた。

「ちっ」舌打ちした政木警部。

 驚愕した斉藤だった。

「警部、ひとり身は、きついっすね」黒川がいった。

「おまえがいうな!」35歳の警部は、事件よりも人生に切羽詰っている。

「いそがしいですよね、警察の仕事って」御影がいった。

「ちょっとみなさん、急に息抜きっすか」伯田が場を修正した。

「そうだぞ、御影、おまえが発端だぞ!」火守が指摘した。

「すいません。そんなつもりじゃ、あっ、でもこれみてください」
 御影が写真を見せた。

「これは──」黒川がいった。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season8 <全9話> 第1話第2話第3話第4話第5話第6話第7話第8話第9話

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