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ラブストーリー

いつか、きっと。

   

”一哉と幸せな時間を過ごす時、わたしも何度となく感謝する。
 それと同じ数だけ、苦しい気持ちになる。”

4つ下の高校生・一哉と付き合っているわたし。
出会いは、4年前の小さな接触事故。
最悪な出会いにもかかわらず、付き合っているのは、
一哉に同じ重荷を味わわせる為。
恋と恋人を許せない気持ちの狭間で揺れる女性のお話。

 

 わたし22歳。一哉18歳。
 交際歴は四年目になる。

「はい、誕生日プレゼント」
「あけていい?」
「いいよ」
 出てきたのは、ノースリーブの青いニット。
「理恵さーそろそろ腕出してもいいんじゃない」
「……」
「全然、目立たないじゃん」
「気にしてるわけじゃないって。ほら、わたしって毛深いからさ」
「じゃあ、今度のデート絶対来てこいよ」
「……はいはい」

 わたし18歳、一哉14歳の夏。
 一哉の自転車をよけようとして、車と接触事故を起こした。
 幸い、車には軽く接触しただけで車よりその後に激突したコンクリートで右手の指3本の軽くしわができるあたりのやわらかい皮膚をなくした。

 血が出てやぶれた皮膚は、赤茶色から茶色へそして若さからか自然治癒力の驚異的な力でかさぶたに変化して新しい皮膚ができた。
 でも、それは以前の皮膚とは違っていて、皮膚というよりピンク色の肉だった。目立たない指の皮膚にくらべ、腕の皮膚は肉の上からご丁寧に毛根までできた。

 当時、一刻も早く治りたくてお風呂上りにできたかさぶたを我慢できなくて何回も無理やりはがしたのが良くなかったのだと今は後悔している。 そして、その時の傷は今、右腕に大きなはげになってわたしの腕にある。

 見ず知らずの他人だった一哉と出会うきっかけになったあの出来事を、
「不謹慎だけど、感謝してるんだ」と一哉はいつも言う。

 

-ラブストーリー


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