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SF・ファンタジー・ホラー

ウパーディセーサ〈四〉

   2016年2月22日  

 マハーパリニルヴァーナ財閥。そいつらが諸悪の根源だ。しかも意外と近いぞ! 日本にある。だが、俺たちは武装集団ではない。悪を消し去る為に悪になる必要はないだろう? 俺たちができる事は、エリミネートを防ぐことだ。それに今は徹しようじゃないか。お前にもそろそろやらなきゃいけない事が出てくるかもしれない。それまでは、気を使わず自由にしてろ。外出禁止ではないが、あまり外をうろつくなよ!

 

〝思い出す〟で思い出した。タバコが吸いたい。喫煙所は有るのか? 鏡に尋ねると、客間とシステムルームを区切っている壁の右手に部屋があった。
 禁断症状だ。あわてて部屋に戻りタバコを取り、駆け足で喫煙ルームへと急いだ。
 中に入ってビックリした。自動販売機のようなものにメンソールとそうでないものの二種類があり、無料だそうだ。
 慌てていたから、ライターを忘れた。タバコは置いてあるのに、マッチすらなかった。渋々部屋に戻ろうとした時、宮守が入って来た。
「おう、眇寨《びょうさい》。もう戻るのか?」
 僕はライターを忘れたことを告げ、火を貸してもらった。
 一日ぶりのタバコ。少しくらっときたが、喉にくっと煙が入ってくるのがたまらない。特に食後は最高だ。
「どうだ、眇寨! ここでの生活には馴染めそうか? まだ話していない奴も居るだろう。 色々聞くのも楽しいもんだぞ」
 相変わらずワイルドな筋肉だ。タバコの吸いっぷりをみれば一目瞭然だ!
「敦さんは、何故ここへ来たんですか? ここへ来るまでは何をしてたんですか?」
 宮守の顔色が少し変わった。怒りというよりかは、恐れの様だった。
「いいか! 眇寨。ここに来るまえの事を聞くのはタブーだ。みんな色々な過去がある。しかし言ってみれば、ここにいるってことは日本に存在していないって事だ。戸籍なんか跡形もなく消えている。つまり、みんなココから始まっているんだ。俺のことは、まぁいずれお前には話してやるよ」
 知らなかった。だが考えてみればその通りだ。もう小山眇寨は居ないんだ。宮守は僕に背を向け右手を挙げ、部屋から出て行った。僕は、吸っているタバコの残り火で次のタバコを吸い、考えた。
 この、人類削減殺戮計画の一番の悪は誰なんだろう。ふと気になった。
 僕は喫煙ルームを出て、鏡に尋ねようと彷徨っているとモニターの前に腕組みをする職員を見つけた。まだ話していない人ばかりだ。取り敢えず話しかけてみることにした。

 

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