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ギャンブラー狂想曲(上)

   

夫のもとに届いた、貸金業者からの請求書。
明子は、血の気が引いた。
必死でパートまでしてマンションのローンを支払っている所へ、新たな借金なんて、いったい何に使ったのかを夫の和夫に問いただした。
それは、パチンコ好きな夫、和夫がつぎ込んだ10万円だった。
一括で返済に行った明子であったが、帰り道に、パチンコ店の前で、ふと、夫のハマる理由が知りたくなり、パチンコ店に足を踏み入れたのであった。

 

ファミレスのパートを終えて帰宅した坂本明子は、マンションのポストを開けて、いつものようにダイレクトメールを取り出し、エレベーターに乗った。
エレベーターは4階で停まり、明子はダイレクトメールを見ながら、エレベーターを降りると、自宅の前まで来て、部屋の鍵を開けた。
中へ入ると、玄関のシューズボックスの上に、鍵を置き、廊下を抜けてリビングへと入って来た。
3年前にやっとの思いで購入したマンションだが、夫と、中学生の娘の3人暮らしには、少し手狭と言った感じだ。

リビングとダイニングキッチンが繋がっているので、その分広くは見えるが、いたるところに、娘の買った雑誌やら、夫のゲーム機、ダイニングのテーブルの上には、なんだかよくわからない物がごちゃごちゃに詰め込んだ、籐の籠がある。

そんな状況に毎日うんざりしながら、朝のまんま、出しっぱなしのタオルや、新聞を一つずつ拾い集めて、なんとか片付いた感じになったところで、リビングのソファーに座った。

持ってきたダイレクトメールは、殆どはゴミ箱行きと決まっているのだが、明子は一枚の封筒に気が付いた。
赤いスタンプで「重要」と書かれ、更に「請求書在中」と書かれていた。
差出人として「鬼沢ファイナンス」と書かれている。
明子の顔から血の気が引いた。
この「鬼沢ファイナンス」と言うのは、要は貸金業者だ。
なぜそんなところから我が家へ請求書が届いたのかだろうか。
明子に身に覚えがない上に、中学生の娘はあり得ない。
そうなると、借主は夫と言う事になる。
明子は恐る恐る封筒を開けると、夫の名義で10万円借金したことになっている。
返済は、2回払いで5万円ずつにプラスして利息が付いてくるわけだ。
『いったい何に使ったていうの?』
明子は、急に頭が痛くなってきた。
このマンションのローンを払う為に必死でパートにまで出て、日々節約しているのを知りながら、いったいなんで10万円も借金をしたのか、明子には皆目見当もつかなかった。

憂鬱な気分で夕食の支度をしていると、中学生の娘が帰宅してきた。
時計は7時を回っていた。
娘の紗江は、バスケットボール部で、部長をしていてスポーツだけは得意なのだ。
「ママ、お腹すいた~。ご飯まだ?」

 

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