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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season8-6

   

 御影たちは島津の見合い相手に話を聴きに出向く。
 水桐たちからの情報があり、御影は微笑んだ。

 孤立気味だった火守探偵だったが、背を向け合っていても事件解決に向けて協力し合う意思はさすが氷室探偵事務所の仲間だと御影は思った。

 御影たちは見合いを行った料亭の女将に島津のことをたずねる。特に見合い相手の女性についてたずねるも拒まれた。

 そこに政木警部が現れ、簡単に見合い相手の情報を詳しく女将から聞きだした。

 石川 彩。島津の見合い相手で尾澤とは一年ほど交際している。
 大学病院で勤務し父親が教授らしい。尾澤のことはよく思っていない彩の両親だった。

 早々に逮捕後、お見合い話を持ちかけた。だが、どんどん彩の純粋な心にヒビが入り砕けようとしていた。

 無理強いなお見合いのこともあり、尾澤を認めない両親に反発する。

 彩はついに自傷行為で精神の発散をするようになる。

 そこに島津の事件を調査している水桐探偵から電話がはいった。

 

 御影と火守は神楽坂にいた。島津の見合い相手を調べるために。

「水桐さんと川上さんもいいとこありますね」御影はいった。

「どういうことだ?」火守はあのふたりがなにかしたのかわからなかった。

「だって、島津医師のところにいって情報をこちらに教えてくれるはず。こちらが得た情報と照合させて、尾澤を四方八方から逃げられないように追い込む。チェスでもおなじ手があります」御影は理屈っぽくいった。

「ちがうだろ。あのふたりは氷室探偵事務所の依頼として動いているんだろ。おれとは関係ない」火守は冷たくいった。

 御影はそういっても、その三人は無言で、結果的には助け合い協力していることをわかっている。

「照れ屋だな、おれより年上の三人さんは」御影はなじった。

「なんだって?」

「あ、あの店ですよ」御影がさきに島津が見合いした料亭を指差した。

 料亭の女将さんに聴取をとる。

「そうなのよ、驚いちゃったわ。あのイケメンで名医の男性、死んじゃったんでしょ。しかも麻薬所持してお見合いなんて考えられないわよ。そんな男がこの料亭に出入りしていたなんて世間に知られただけでもう客は激減するわ」陽気で調子がよく、ゴシップには食い入るように話すのが好きそうな女性だった。店の評判まで気にしているのはやはり商いを営んでいる性分だろう。

「相手の方の女性がしりたいんですけど」火守は単刀直入でいった。

「いちおうね、そういうことは公言できないのよ。プライバシーのこともあるので」女将はもっともらしくいった。

「そうですか、どんな女性でしたか?」

「まぁ、近くの病院の娘さんだけど、気立てもよくて明るくていい娘さんよ」女将はなにもいえなといいながら気づかずに軽い舌で話していた。

「そうですか、わかりましたありがとうございます」火守はあっけなく退く。

「いいんすか、もっとつっこんだら簡単にいいそうでしたよ」御影は後ろ髪引かれるように後にする。

「ああ、そうだな。いいそうだ。でもそれは本物の警察にしてもらおう」火守の視線のさきを御影も追う。

「あっ、警部」

 

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