幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

SF・ファンタジー・ホラー

死神の鏡身 十五話

   

 そしてクジュの昔話は続く。

 

 そして、劇は一幕をおろす。第一部終了。ここから少し休憩時間が入る。
 舞台上は最後の一瞬で時が止まり、その場面を映しつづけている。
「結局よくわからなかった」
 リクが言う。
「そもそもカイリュウって何者?」
「それは私たちにもわかってないの」
「それにしてもおかしい、何でも作れるって言う設定なのに陸、さらにそれに則したものは作れない。星も作れるなら、移り住めばいいのに」
 リクがあきれたように言った。
「それだって明らかになっていないんだ。カイリュウがどの程度万能で、どの程度やれるのか。まったくさ」
 シャオが酒を片手に言った。もうかなりの量飲んだはずだったがシャオは一切酔っていないようだった。
「では、カイリュウが万能だと知りえたのはなぜ?」
「われら探索班の絶え間ない努力の結果だよ」
「それが確かであるという保障は? そもそも誰かが考えたお話である、っていう可能性はどうやってつぶしたの?」
 シャオがちらりとリクを見た、どうやら意地悪で言っているのではなく、単なる興味から聞いている様子だった。
「で、どうなのよ」
 シャオにはリクの性格がだいたいわかってきた。
 この少女、基本的に悪気はないのだ、言葉遣いが悪いだけで。むしろ、これくらいつっけんどんなのが彼女生きてきた場所では普通だったのかもしれない。
「まぁ、そんな根拠どこにもない。見つかってないだけかもしれないし。この世界どこを探しても、そんなものないのかもしれない」
 探索班の仕事なんてそんなものだ、裏付けなんてこれまで発掘した物から得た情報だけだ。
 そう考えるとまだ見つかってない遺産にすべてをひっくり返す新情報があるかもしれない。
 それは否定できないのだ。
「けどいいんだよ、この世界ではそれで、なにせここは面白ければ何でも許されるんだから」
 実際そのとおりだった。何かを厳密にすることに意味を感じない。何かを徹底的に決める必要なんてない。ここはそんな場所だった。
 逆にそれは、誰かがミスをしたなら、みなで笑ってそれを許していこうという風潮の現われだ。たぶんそれはこの世界の人間の数がリクの世界から見ると異常に少ないからなんだろうと、シャオは思っている。
「そんな、無責任な……」
 リクは心底あきれたように肩をすくめた。
「無責任でも、楽しければそれでいいんだよ。ここは」
 それはいつか絶対に、何か困ったことを招くと知っていても、それでもこの世界の人間はそれをやめられないだろう。
「ねぇねぇ」

 

-SF・ファンタジー・ホラー


コメントを残す

おすすめ作品