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星座アラベスク<1>おひつじ座

   

 占星術は古代メソポタミアで誕生した。
 チグリス、ユーフラテス川付近の遺跡から、星占いを記録した楔形文字の粘土板が多数出土している。
 最近の研究によると、占星術は、ウル第一王朝に始まるということである。

 

 羊飼いのサトラは、丘の草原に座ると、夜空を見上げた。
 月は出ていないが、満天の星で、周囲は明るい。
 はるか彼方を流れている大河までも見分けられる明るさであった。
 羊たちは囲いの中で寝ている。
 サトラは、飽くことなく、夜空を見続けた。
 不規則にならんだ星たちを眺めているうちに、サトラは、そこに牡羊を観た。
 牡羊か……。
 普通の牡羊では面白くないな……。
 金色の牡羊……。
 背中に子供を乗せたらどうかな……。
 闘志に溢れる牡羊が子供を助けて逃げる……。
 サトラは、想像を楽しんでいた。
 金色の牡羊が子供を乗せて天を飛ぶ、というのは想像だが、牡羊が観えたのは事実であった。
 サトラには、そのような才能があったのだ。
 星々の中に牡羊が観える――。
 紅い大きな星に血のついた剣が観える――。
 青空の中に嵐を観たこともあった――。
 壮健な男に死神を観たことすらある――。
 なぜ観えるのかは、分からない。
 そういう才能がある、としか言いようがない。
 その才能は、王の耳に入った。
 そして、サトラは、未来を占う者として、王の都に招かれることになったのであった。

 

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