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ギャンブラー狂想曲(下)

   

 先日のパチンコの大当たりの感触が忘れられない明子。
 パートの、パチンコ好きの同僚に、この高揚した気持ちを話したくてたまらず、話してみた。
 次のパートの休みの日も、いてもたってもいられず、何度もパチンコ店の前をウロウロしたあげく、結局またパチンコをしてしまった。
 ただ、パチンコ店を出るとき明子が思った事は、「負けなくて良かった」と言う気持ちだった。
 負けた時を考えると、怖くてしょうがなくなるのに、なぜか、あの勝った時の高揚感が忘れられなくて仕方のない明子であった。

 

 明子は、先日のパチンコでの大当たりが頭から中々離れなかった。
 ファミリーレストランでパートをしている明子であったが、周りのパート仲間にも、パチンコをやる同僚がいて、ついこの前のパチンコの話をしたくて仕方が無くなっていた。
 休憩時間が一緒になった、同僚の林田洋子は、無類のパチンコ好きだ。
 毎回、休み明けは、「昨日はいくら儲かった」「昨日は全然ダメだった」等、いつも店長と話しているのを耳にしていた。
 休憩中に昼食を摂りながら、明子は恐る恐る洋子に尋ねてみた。
「林田さんは、パチンコ好きなの?」
「ん?坂本さんってパチンコ嫌いじゃ無かったの?」
「えっ?そんな事言ったっけ?」
「だっていつもパチンコの話には乗っかって来ないじゃない?てっきり嫌いだと思ってた」
「確かにね。家の夫はパチンコでいつも小遣い遣い込んじゃって、それぼやいたことはあったかもしれないわね。」
 と、明子は苦笑いをした。
「で?パチンコがどうしたの?また旦那が使い込んじゃったとか?」
「うん。まあそれもあるんだけどね…。」
 と、明子は曖昧に返事をしながら
「夫が、どうしてそんなにパチンコが好きなのか、どうしても知りたくて、この前行ってみたのよ。」
 と明子は、小声で洋子に話した。
 すると洋子は大きな声で笑った。
「坂本さんが?!うそでしょっ?!どう考えてもパチンコするタイプじゃないよね」
 確かに、明子の見た目は、どちらかと言うととても地味で、「節約してる主婦№1」みたいな見た目で、白髪交じりの髪の毛を後ろにきっちりと結んでいる様は、やつれているように、見えなくもない。
 それに比べて、洋子は、年齢的にも明子よりもかなり若く、たしか35歳くらいで、保育園の子供がいたはずだ。
 茶髪の髪の毛を綺麗にポニーテールに結んでいるその顔は、一見すると華やかで、ファミレスでパートをするのは勿体ないくらいの、美人な部類に入るであろう。
「で?どうだった?楽しさは判ったの?」
 と洋子は煙草に火をつけながら明子に尋ねた。
「そうね。わかったような、わからないような…。私、何が何だかわからない内に当たっちゃって、どうしていいいかわからなかったって言うのが本音かな?」
 そう言うと洋子は
「わおッ!当たったの?どのくらい連チャンしたの?」

 

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